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「だれかの木琴」 2016

だれかの木琴

★★★☆☆

 

あらすじ

 近所に越してきたと話す主婦の接客をしたところ、しつこく付きまとわれることになってしまった理容師の男。 

 

感想

 無言電話をかけられたり、毎週のようにやって来られたり、担当者を女性にしろと迫られたり、付きまとわれたりと、 美容院は人間の闇が垣間見られる場所というのが良く分かる。そして美容院側のこなれた対応が、それは日常茶飯事だということを物語っている。ただそれでもそれも美容師の仕事の一つだとでもいうように、陰口も悪口も言わない美容師たちには好感が持てた。

 

 個人的には今日はこの後どこへ行くのかだとか仕事の話だとか、一切聞いて欲しくないし、話しかけないで黙って切って欲しいと思っているので信じられないのだが、世の中には誰かに自分の事を話したいと思っている人がたくさんいるという事なのだろう。そして、相手をしてもらえた事により、多くの事を求めてしまう人も出てくる。

 

 

 ストーカーになってしまう常盤貴子演じる主婦は、最初からヤバい感じを醸し出してしまっていて、どこにでもいる主婦がある日突然…、みたいな感じはないが、彼女をそれに駆り立てる原因のようなものは窺える。

 

 彼女の新居に設置されたセキュリティシステムが、彼女の立場を表している。外からの敵を防ぎ、家の中を守る主婦。でもそれは、外からの連絡を絶って彼女を家の中に閉じ込めるという事でもある。そんな彼女が外界との接触の糸口にすがってしまうのは分からないでもない。

 

 基本的には普通の現実的な描き方で展開しているのに、突然、非現実的なシーンが現れて、笑えるという意味も含めて面白かった。でもなんかそれも悪くない。こういうのをマジックリアリズムというのか?と思ったりもした。

 

 ストーカーとなった主婦だけではなく、その家族やその他の登場人物たちもどこかが少し変。合理的でまともな出来事だけで回っているのではなく、そういったみんなが持つ変な部分を丸め込みながらも何でもないような顔をして回っている、それが社会なのかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/編集 東陽一

 

原作 だれかの木琴 (幻冬舎文庫)

 

出演 常盤貴子/池松壮亮/佐津川愛美/勝村政信/木村美言/岸井ゆきの/螢雪次朗

 

だれかの木琴

だれかの木琴 - Wikipedia

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