★★★★☆
あらすじ
生き別れになった弟と再会を果たし、タッグを組んで悪党が盗んだ世界最大のダイヤモンドを取り戻そうとする主人公グルー。
「怪盗グルー」シリーズ第三作目。原題は「Despicable Me 3」。90分。
感想
これまでの養子三姉妹、妻に続いて、今作では主人公グルーの双子の兄弟が加わる。主人公に仲間が増えた分、今までにぎやかしとしていい働きをしていたミニオンズの活躍は控えめになっている。
これは、シリーズ前作と今作の間にミニオンズのスピンオフ作品が作られ、こちらもシリーズ化していきそうなのも影響しているのだろう。今後は「怪盗グルー」は家族中心、「ミニオンズ」はミニオンズメインと、シリーズで住み分けしてやっていくことになりそうだ。シンプルな原題と違い、毎回無理やり「ミニオン」の名前をねじ込んでいる邦題の今後が苦しくなりそうで心配だ。
それでも要所要所でミニオンズの活躍は見られる。ただ、愉快ではあるが、これまでのような無邪気さは影を潜めている。このあたりは主人公の双子の兄弟とキャラが被ってしまうからだろう。
今回、ミニオンたちは悪党に戻る気のない主人公に愛想をつかし、家を出ていく。だが突然出ていくのではなく、その前にデモをして抗議活動をしているのが面白い。そしてこんな形で、不満がある時はどうすればいいのか、その手段を子供向けアニメで啓蒙しているのも偉い。仲間という曖昧な言葉に誤魔化されず、労使関係にあることをしっかりと自覚し、待遇改善を求めていくことの大事さを伝えている。
何世代にもわたって大人が子供に大事なことを教えていく、その積み重ねが民主主義を確固としたものにしていくのだろう。その結果、デモはクールだと考える子供たちが育ち、それを怠るとデモなんか意味あるの?と冷笑する大学生が出てくる社会になる。
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シリーズこれまでのミニオンズが引っ張っていく物語を期待していると裏切られた気持ちになるかもしれないが、主人公とその家族が活躍する物語として十分楽しめる。特にアクションに力が入っていて見応えがあった。喧嘩して馬鹿にした兄弟に助けられる展開も熱い。
スタッフ/キャスト
監督 カイル・バルダ
監督/出演(声) ピエール・コフィン
出演(声) スティーヴ・カレル/クリステン・ウィグ/ミランダ・コスグローヴ/ジュリー・アンドリュース/トレイ・パーカー/ジェニー・スレイト/スティーヴ・クーガン/アンディ・ナイマン
音楽 ヘイター・ペレイラ
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「怪盗グルーのミニオン超変身」