★★★★☆
内容
スタンフォード大学の人気講座「意志力の科学」を基にした本。
感想
原題は「The Willpower Instinct」。直訳すれば「意志力の本能」で日本語タイトルとは随分違う。この邦題だから読んだ人はたくさんいるだろうが、逆に食指が動かない人もたくさんいたかもしれない。
内容は講座名からも分かる通り、自己コントロールに関する科学的な見解を取り上げている。何かにチャレンジしたとき、例えばダイエットで順調だったのに魔が差して誘惑に負けてしまったり、一度誘惑に負けるとタガが外れたようにリバウンドしてしまったり、誘惑に負けまいと考えれば考えるほどそのことばかり考えてしまったりと、誰にでも経験のあるような状態に人はなぜ陥るのかを科学的に説明している。
そしてそれにどのように対処するのか、「意志力を鍛えるための最適な方法」も同時に紹介されている。面白いのは自分の中に芽生える欲求をねじ伏せ打ち消そうとするのではなく、それを受け入れ認めながらも行動には移さず、その欲求が去るのをじっと待つという姿勢だ。欲求自体を押さえつけていたら、心に何らかの悪影響を与えてしまいそうだから、確かに説得力がある。そして瞑想の重要性を説いているのも印象的。
しっかりと自分をコントロールできる人は、自分と戦ったりはしません。自分のなかでせめぎ合うさまざまな自己の存在を受け入れ、うまく折り合いをつけているのです。
p337(単行本版)
読んだら意志力に関する認識がだいぶ変わり、これまで何度も挫折してきた事に改めて挑戦してみる気になった。各章で自己コントロールのための戦略が紹介されているので、読み終えなくても直ぐにトライできるのも良い。今のところうまくいきそうな気はしている。
著者
ケリー・マクゴニガル
登場する作品
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