★★★★☆
あらすじ
ベストセラー作家の老人が自殺するも他殺を疑われ、何者かに雇われた探偵に協力することになった若い看護師。
感想
大きな屋敷に住む富豪の老人が死んで、その家族が遺産目当ての殺人を疑われる。ミステリーの定番のプロットだ。映画はそれに沿うような往年のクラシックな雰囲気を醸し出している。だがそれだけでなく、スマホやインスタ、トランプを支持するネトウヨが登場するなど、現代的な要素もしっかり入っていて新鮮さもある。
最初は被害者の家族たちが探偵らにひとりひとり事情聴取されていく。これも定番の流れだが、このまま探偵側の視点で事件の真相を探っていく展開なのかと思わせておいて、そのあとすぐに犯人側の視点に立たされることになる。それまで何処か他人事だった事件が急に自分事のように感じられ、一気に物語の世界に引き込まれてしまった。この構成は上手い。その後も話が二転三転するような先が読めない展開が続き、観客を楽しませ続ける。
そしてこれをシリアスではなく、クスっと笑わせるようなコミカルさを交えつつ描いているので面白い。ダニエル・クレイグ演じる探偵は有能なのかよく分からないトボけた雰囲気を持っているし、探偵もののお約束の展開を茶化して見せたりもする。
主人公の若い看護師は、嘘をつくと嘔吐してしまう設定だ。馬鹿馬鹿しすぎて笑えるのだが、この設定はのちのち効果的に使われる。その他の要所に散りばめられた笑いもちゃんとストーリーに影響を与えるようになっており、話の流れを途切れさせないので緊張感を失うことなく見続けることが出来る。
アガサ・クリスティーの小説みたいなしっかりとした原作があるのかと思ってしまうような、良く出来たミステリーだ。だが気になる点もあった。まずは主人公のミスを正当化している事だ。いくら熟練だからといっても感覚だけでやっていては駄目だろう。最終的に目視で確認しなかったのは、どう考えても初歩的なミスだ。そしてもう一点、老人が自殺をするのをいとも簡単に決めすぎな事。そんな急に自殺を決意できるものだろうか。
ただこれら気になる点も致命的というほどではない。それが許せてしまうほど謎解きは楽しめたし、ちゃんと笑えてエンターテイメント作品としてレベルが高かった。続編の製作が決定しているのも納得の出来だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 ライアン・ジョンソン
出演 ダニエル・クレイグ/クリス・エヴァンス/アナ・デ・アルマス/ジェイミー・リー・カーティス/マイケル・シャノン/ドン・ジョンソン/トニ・コレット/ラキース・スタンフィールド/キャサリン・ラングフォード/ジェイデン・マーテル/クリストファー・プラマー
ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 - Wikipedia
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