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「アガサ・クリスティー ねじれた家」 2017

アガサ・クリスティー ねじれた家(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ある大富豪の殺人事件が発生し、犯人を探すために豪邸を訪れて家族に話を聞く私立探偵。

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 原題は「Crooked House」。

 

感想

 古い大きな洋館で殺人事件が起き、私立探偵がやって来て一筋縄ではいかない住人達に話を聞きながら真犯人を探す物語だ。いかにも古典的な推理ものといった感じで、演出も重厚感があって雰囲気が良く、とても期待をさせてくれる滑り出しだった。グレン・クローズ演じる大叔母をはじめ、登場人物たちが皆個性的なのも良い。

 

 ただ、当初の期待がどんどんと萎んでいくような内容になってしまっている。ミステリーものには、一番怪しそうにみえる人物は真犯人じゃないという定番の決まり事があるが、この物語ではなぜかその一番怪しそうに見える人物の話で終盤まで引っ張ってしまう。

 

 登場人物たちは皆、犯人はそいつだろうと決めつけて安心してしまっており、絶対犯人はそいつじゃないだろうと思っている観客との温度差が激しい。もしかしたら犯人はこいつなのか?と登場人物たちが互いに疑心暗鬼になるような展開がなくて盛り上がらない。

 

 

 それに大富豪が殺されたとなれば、犯人の目的は遺産だろうと思ってしまうのだが、親族たちがそれについては意外と淡白な反応しかみせないのも拍子抜けした。一応は相続の内容について嫌味を言ったりはしているのだが、大した執着はみせず、あっさりと受け入れてしまっている。

 

 皆お金には余裕がなさそうだったので、そこは醜い骨肉の争いを見せて欲しかった。遺産の行方にそんなに関心がなさそうだということは、富豪を殺す動機もそんなにないのだろうなと思ってしまい、真犯人を探すモチベーションが全然上がらない。

 

 そんな悪い意味で安定した状態で進んだ物語は、ラストに急展開で真犯人が明らかになる。それ自体はなかなかの驚きがあって面白かったのだが、そこに至るまでの経緯が全然ダメだった。もうちょっと観客が推理を楽しめるような状況を作って欲しかった。

 

 それからよく考えてみると、私立探偵は特に何もしていないので、彼のキレッキレの推理を楽しむ感じもなく、ただ事件の経緯を眺めるだけだったような印象になってしまっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジル・パケ=ブランネール

 

脚本 ジュリアン・フェロウズ/ティム・ローズ・プライス

 

原作 ねじれた家 (クリスティー文庫)

 

出演 グレン・クローズ/テレンス・スタンプ/マックス・アイアンズ/ステファニー・マティーニ/ジュリアン・サンズ/オナー・ニーフシー/クリスチャン・マッケイ/アマンダ・アビントン/ジリアン・アンダーソン/クリスティーナ・ヘンドリックス

 

ねじれた家 - Wikipedia

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