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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「パズル」 2014

パズル

★★☆☆☆

 

あらすじ

 監禁された妊婦の教師を助けるため、謎の仮面の男に強制的にゲームをさせられることになった校長ら。85分。

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感想

 いわゆるデスゲームものだが、なんのひねりもない「皆さんにゲームをしてもらいます」という既視感のあるくだりに、いきなりげんなりさせられる。そして、行われるゲームをどっちの視点で見ればいいのかが分からない。突然ゲームに参加させられることになってしまった参加者の側か、右往左往する参加者を見て楽しむ主催者側なのか。ちなみにこれは最後まで分からなかった。

 

 

 そもそもこの映画はプロットがぐちゃぐちゃで分からないことだらけだ。まず野村周平演じる主人公が何者なのかが分からない。なぜそんなことが出来る能力があるのか、何故そんなことをしようとしたのか、全部不明だ。主人公がどんな人物なのか、まったく描かれない。

 

 おかしな描写も多くて、監禁されていた校長がなんとか自力で拘束を解いたのに、逃げずにいきなりそこにいた女子高生を襲ったのは、ありえないだろうと思ってしまった。そんな性癖があったとしても、この状況ではどう考えてもとにかく逃げるはずだ。それに万が一襲うなら、相手のマスクを外そうとするはずだ。これは罠だったのだが、なぜか先に種明かしをしてしまう演出も謎だった。これでは校長と同じように驚くことが出来ない。

 

 それから妊婦の教師が襲われた理由もいまいち良く分からなかったのだが、これは校長から口止め料を受け取っていたからのようだ。しかし校長も、律義に毎月口止め料を払う気があるのだったら、あんなことしなくても普通にそういうお店に行くとか、ネットでそういう女性を探すとかすればいいのに、と思ってしまった。校長のキャラもよく分からない。

 

 「何日前」「何時間前」と時おりテロップを出すのも、何に対する時間なのかがさっぱり分からないのでちっとも効果的でない。劇中音楽もイラっとするだけで邪魔だった。意図の分からない演出が多い印象だ。ただ雰囲気でやっているだけに感じる。

 

 主人公は直接彼らに被害を与えられたわけではないので、復讐劇だとすると動機が分からないし、正義をなす物語とするなら無関係の人たちを巻き込み過ぎだしで、結局この映画は何を描こうとしているのかがよく分からなかった。当然爽快感があるわけでもなく、ただ嫌な気分になる事件を眺めているだけだった。正義感に駆られた人々によって行われるネットリンチのメタファー、と言われたらしっくりくるような気がするが、恐らくそんな意図は全くなかっただろう。

 

 ただ最後の残虐な戦いのシーンは悪くなかった。血まみれの夏帆もいい。でも戦う相手がなぜ、何も悪くなく恨みもないはずの加害者の父親だったのかは謎だ。戦う大義がない。復讐の最終決戦でも、頭のおかしい人間がたまたま出会ってしまったでも何でもいいので、ちゃんとプロットを練って納得できる筋道をたどってこの最終対決シーンまでたどり着いて欲しかった。

 

 85分の短い映画だが、とても長く感じた。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 内藤瑛亮

 

脚本 佐々木誠

 

原作 パズル (角川文庫)

 

出演 野村周平/夏帆/高橋和也/八木さおり/佐々木心音/馬場ふみか/大和田獏

 

音楽 有田尚史

 

パズル

パズル (2014年の映画) - Wikipedia

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