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「恋の骨折り損」 2000

恋の骨折り損 (字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 ナヴァール王国の国王と三人の学友は、三年間、学問にのみ専念することを誓うが、外交交渉のためにやって来たフランス王女と侍女たちに恋をしてしまう。

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 ミュージカル映画。原題は「Love's Labour's Lost」。

 

感想

 食事や睡眠を削り、女性とも交流せずに三年間、学問に専念することを誓い合った国王らの物語だ。彼らが誓いに縛られて悶々とする姿を面白おかしく描くのかと思ったが、案外あっさりと反故にしてしまい、すぐに恋愛に夢中になってしまう。

 

 こんなことなら別に大げさな誓いなど立てず、普通にラブストーリーをやればいいのにと思ってしまったが、どうやら人生に恋愛は欠くべからざるもので、禁止するなんて馬鹿げている、というメッセージが込められているようだ。確かに勉強だって良い恋愛をするためにしている側面もあるのでそれは理解できる。

 

 だがそのメッセージが伝わってくるような恋愛シーンがないので、まったく説得力がない。恋愛描写ではなく、ただ言葉でくどくど説明するだけだ。それこそまるで勉強しかしてこなかった人が語る、頭でっかちな恋愛論を聞いているような気分になってしまった。それがテーマなのだから、そう思えるようなシーンがたくさんなければ駄目だろう。

 

 ミュージカルシーンは、クラシカルで雰囲気のあるものになっている。中でもプールの水中で水着の女たちが入り乱れるシーンは良かった。ただこれらはしっかりとしたストーリーの中でやればこそ映えるものだ。

 

 終盤、フランス王女らが国に戻ることになり、彼らの恋愛はしばし中断を余儀なくされる。この別れの愁嘆場も、彼らの恋愛がちゃんと描かれなかったがために、まったく感情移入が出来なかった。しかも国王の学友の一人である主人公に、再会するまでの間のお願いとして恋人が課した要求がかなり厳し過ぎるものだったので、別れの哀しみよりも反発を覚えてしまうほどだった。

 

 

 最終的にはどんなケリがつくのだろうと興味深く見守っていたのだが、なんとも雑な結末が待っていた。良いキャラクターだった軍人や他の人物たちのサイドストーリーも放ったらかしたままで、結局何がやりたかったのだが分からない映画になってしまっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/出演 ケネス・ブラナー

 

原作 恋の骨折り損 シェイクスピア全集 16 (ちくま文庫 し 10-16)


出演 アレッサンドロ・ニヴォラ/アリシア・シルヴァーストーン/マシュー・リラード/エイドリアン・レスター/ナターシャ・マケルホーン/エミリー・モーティマー/カルメン・イジョゴ/ネイサン・レイン/ティモシー・スポール/ステファニア・ロッカ/リチャード・クリフォード/リチャード・ブライアーズ/ジミー・ユール

 

音楽 パトリック・ドイル

 

恋の骨折り損 (字幕版)

恋の骨折り損 (字幕版)

  • ケネス・ブラナー
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恋の骨折り損 (2000年の映画) - Wikipedia

 

 

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