★★★☆☆
あらすじ
アメリカで弟が殺された事を知った男は、中国の刑務所を脱獄し現地に向かう。アンジェイ・バートコウィアク監督によるヒップ・ホップ・カンフー三部作の第一作目。
感想
現代版「ロミオとジュリエット」かと思いきや、そうでもない。とりあえず前提条件となるはずの中国マフィアと黒人マフィアの敵対関係が成立していない。緊張関係を保ちながらも上手くやっていたが、その均衡がマフィアの息子の死で崩れないか危惧しているという程度で、抗争が起きているわけではない。どちらかというと、ジェット・リー演じる主人公がそれにちょっかいを出している感じすらあった。
そして対立する一家の子供同士の許されざるロマンスという感じもなかった。確かに主人公と相手方の黒人マフィア一家の娘とは気は合うようではあるが、恋愛というよりも友人といった間柄といった方が相応しい関係。それは最後まで変わることなく、ロマンスは起きず、いろんな意味で両者の間には見えない大きな壁があるんだなと感じざるを得ない。
というわけでストーリーだけをよく考えてみると、色んなことが起きているが、それらの出来事がうまくかき混ぜられて一つになっているわけではない。なので、真相がはっきりしてくるにしたがってなんだそれ?という感じになってしまった。主人公のかき回す行動がなければ、おそらく粛々と事が運んで、ほぼ何も起きない映画になっていたはずだ。
ただアリーヤが出ている事からも分かるように音楽は良く、それを楽しむ映画と割り切れば結構楽しい。特に序盤のこれでもかと音楽が立て続けに流れるところは良かった。最後までこんな感じだったら、内容関係なく気持ちよく観られたかもしれない。
そして、当然ジェット・リーのアクションもすごい。ちょっとワイヤーアクションはやり過ぎ感が出てしまっていたが。何も考えずにアクションと音楽を楽しむ、という姿勢であればそれなりの満足感が得られる映画にはなっている。
スタッフ/キャスト
監督 アンジェイ・バートコウィアク
出演 ジェット・リー/アリーヤ/イザイア・ワシントン/ラッセル・ウォン/デルロイ・リンドー/D・B・ウッドサイド/アンソニー・アンダーソン/DMX/フランソワーズ・イップ
音楽 スタンリー・クラーク/ティンバランド
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