★★☆☆☆
あらすじ
フランス・ニースである警部が殺され、背後にマフィア同士の抗争と警察との癒着があるとにらんだ男は捜査に乗り出す。フランス映画。
感想
主人公をはじめ主要な登場人物たちが、何の説明もなく次々と登場する。この映画はおなじみのキャラクターが活躍するシリーズ物なのかと疑ってしまったが、そういうわけでもなかった。序盤はそれぞれがどんな人物なのかを見極めつつ、話の筋も追わないといけないのでだいぶ混乱してしまった。
物語が進むにつれて次第に話の全貌が見えてきて、主人公も警察の内部調査を行う警部であることが分かってくる。しかしいきなり相手を殴りつけ、暴力に訴える主人公のスタイルにはドン引きしてしまった。相手の事務所や車を爆破したり、店に放火したりまでする極悪非道ぶりだ。正直、全然好きになれなかった。
それでも、正義のためなら悪も辞さない矛盾したキャラクターとして徹底してくれれば、それはそれで映画として成立する。だがこの主人公は時にコミカルなことをしたり、なにかと女性を口説くナンパな姿を見せたりして掴みどころがない。映画のテイストがブレブレ過ぎて、どういうつもりで見ればいいのかが最後まで分からなかった。タフでハードボイルドなのか、軽妙でコミカルなのか、クールで粋なのか。とにかく映画に統一感が欲しかった。
ただ、それぞれのシーンを単体で見れば悪くないものも多かった。中でも、映画中盤の映画館のシーンで、途中からやってきた主人公がこの映画自体の内容とかけながら、上映中の映画のこれまでのあらすじを娘に尋ねるシーンは洒落が利いていた。「警官が乱暴よ」と答える娘にニヤリとしてしまう。
終盤は、やりたい放題だった主人公が娘を誘拐され、少し面白くなる。だが結局最後は、それは卑怯なのでは?と思ってしまうような結末を迎えた。主演のジャン=ポール・ベルモンドの色々な魅力を楽しめる映画と言えるのかもしれないが、集中して見るのがとても困難な映画だった。
スタッフ/キャスト
監督 ジョルジュ・ロートネル
脚本 ジャン・エルマン/ミシェル・オーディアール
出演
マリー・ラフォレ/ジュリエット・ミルズ/シャルル・ジェラール/ミシェル・ガラブリュ