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「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎」 2017

空海-KU-KAI-美しき王妃の謎 インターナショナル版(字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 中国・唐の時代の長安。皇帝の不審死や町で続発する不思議な出来事を調べることになった若き日の空海と白楽天。

 

感想

 唐での空海の様子を描くのかと思ったら全然違って、長安の町で起きる不可解な事件の謎を空海が解く物語だった。オープニングタイトルで中国題が「妖猫傳」、英題が「Legend of the Demon Cat」と、どちらも「空海」の「く」の字もない事を知って、いきなり詐欺にでもあったような気分になってしまった。

 

 海外の人は、空海とか言われてもほとんど知らないだろうから百歩譲ってそれは良いとして、せめて邦題は「名探偵・空海 美しき王妃の謎」ぐらい分かりやすくして欲しかった。とはいえ、空海は謎を解いて大活躍するわけでもないのだが。 

名探偵コナン(1) (少年サンデーコミックス)

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 皇帝が不審死し、町でも不思議な事が起こっていて、空海と白楽天がその謎を追うのだが、この二人の捜査にかけるモチベーションが良く分からない。一応は調査を依頼されたが殺人事件とかではなく、黒猫の呪いらしいというあやふやなものなので、不思議ですね、で終わってしまいそうなものだ。見ていてそんなに興味が引かれるものでもなかった。

 

 一応は「長恨歌」を書く白楽天の、楊貴妃への思いがあったのかもしれないが、最初は何の関係もなかった。なのに二人はずんずんとのめり込んでいく。

 

 

 そして、数々の不思議な出来事は、数十年前の楊貴妃の時代に起きた出来事が関係していることが分かってくる。映画はこの時代の回想を交えながら核心に迫っていくのだが、肝心な登場人物たちの描き方がとても雑。ここが一番大事なところなのに。阿倍仲麻呂や幻術使いの兄弟が、楊貴妃に想いを寄せているのだが、それを丁寧に描いていないものだから全然伝わってこない。そもそもそんな楊貴妃がどんな人物なのかの描写もほぼなし。わずか2度か3度の短い登場で彼らを理解しろと言われてもそれは厳しい。

 

 おかげで現在の黒猫の呪いにつながる楊貴妃にまつわる悲劇に、全く感情移入できなかった。そのくせ音楽はやたらとエモーショナルで、全然その音楽でエモーショナルになれない自分は部外者なのだと思い知らされて、疎外感は強まるばかり。ファンタジックで豪華な映像がたくさん出てくるが、全然そんなの楽しむ気になれなかった。

 

 そもそも黒猫の呪いが分かりづらかった。黒猫が一番呪うべきは皇帝のはずなので、その子孫へ祟る様子をしっかり描いてくれればいいのに、きっかけとなった事件の関係者の息子に手間暇かけて祟る様子を見せられて、関係が遠すぎるのに恨みの強弱がおかしくない?と思ってしまった。恨まれる人たちも特に極悪人というわけでもないので、なんだか黒猫が八つ当たりしまくりの悪い奴に見えてしまう。

 

 終了するころには完全に他人事だったので、ラストはあーそうですかーとしか思わなかった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 チェン・カイコー


原作 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一 (角川文庫)


出演 染谷将太/ホアン・シュアン/チャン・ロンロン/阿部寛/キティ・チャン/チン・ハオ/リウ・ハオラン/チャン・ティエンアイ/チェン・タイシェン/火野正平/松坂慶子

 

音楽 クラウス・バデルト

 

空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎 - Wikipedia

空海-KU-KAI-美しき王妃の謎 インターナショナル版 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

登場する作品

長恨歌

 

 

登場する人物

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白楽天/楊貴妃/玄宗/高力士/李白/安禄山/阿倍仲麻呂 

 

 

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