★★★★☆
あらすじ
廃刊の決まった雑誌「LIFE」最終号の大事な表紙写真のネガが見つからないフィルム管理者は、写真家を探して世界中を駆け回る。
1947年の映画「虹を掴む男」のリメイク作品。原題は「The Secret Life of Walter Mitty」。
感想
幼い頃は冒険を夢見ていたが、父親の死をきっかけに家族のために働いてきた主人公。どことなく「素晴らしき哉、人生!」の主人公と似ている。ただし彼は誠実な人生を歩みながら、空想をすることで退屈な人生を紛らしている。
別にそんな人生も悪いとは思わないが、空想を現実のものにしたいなら、もしくは現実逃避で逃げるわけにはいかないなら、実際の行動を起こすことが必要になってくる。主人公は託されたネガフィルムを見つけられず、連絡しようにも世界中を転々として捕まえられない写真家を探し出し、直接確認をする必要に迫られてしまった。そして、飛行機に乗って写真家がいると予測されるグリーンランドへ向かう。
しかし、いきなりグリーンランドというのもすごい。まったくどんな所かすら想像もつかなかったが、この一連の旅の様子が良かった。当然スムーズに事は進まないのだが、それでもなんとか目的に向かって前進している。この簡単ではないがそれでも何とかなる、という実感を得られることが旅の面白さかもしれない。
やがては昔の感覚を思い出し、写真家を追って世界中を駆け回る主人公。どんどんと自信の溢れる表情となり、たくましくなっていくのが印象的だ。ただそんな彼も、最初の頃は得意の空想の力を借りて勇気を振り絞っていたのがミソかもしれない。決して夢想癖を馬鹿にしていない。むしろ、行動力に加えてそれがあるからこそ、より楽しい人生が送れるというメッセージだ。
盛り上がりそうなシーンを敢えてすかしたり、大したことがないように描く演出に好感を持った。使われる音楽も良くて、途中で流れるデビッド・ボウイの「Space Oddity」は心に残る。大自然あふれる旅の風景に、フッと笑えるような笑いも散りばめられていて、観ているとなんだか心が軽くなってくる映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/製作/出演 ベン・スティラー
原作
製作 サミュエル・ゴールドウィン・Jr/ジョン・ゴールドウィン/スチュアート・コーンフェルド
製作総指揮 ゴア・ヴァービンスキー/マイヤー・ゴットリーブ/G・マック・ブラウン
出演 クリステン・ウィグ/シャーリー・マクレーン/アダム・スコット/キャスリン・ハーン/パットン・オズワルト/エイドリアン・マルティネス/オラフル・ダッリ・オラフソン/ショーン・ペン
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