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「祈りの幕が下りる時」 2018

祈りの幕が下りる時

★★★☆☆

 

あらすじ

 アパートで女性が殺され、その近所でホームレスが殺された事件と、自分の死んだ母親との間に接点があることを知り、捜査に加わった主人公。テレビドラマの劇場版第2作目。

 

感想

 かつて自分の前から姿を消した母親の生前最後の様子を知るために、接点が浮上した殺人事件の捜査に加わった主人公の刑事。こういう時は私情が絡まないように捜査には加えないものではないのかと思わなくもなかったが、それ以外は大きく引っ掛かる部分もなく、捜査の行方を固唾を飲んで見守ることができた。

 

 捜査が進展するにつれて見えてきたのは、事件の背後にあった悲しい物語の存在だ。秘密を抱えてひっそりと生きてきた親子の物語は確かに切なく、そして泣けた。若干、悲劇のきっかけとなったトンネル内での親子の別れのシーンは、駆け寄る双方の距離がありすぎてコントじみてしまっていたが。すごい遠くから父親が走って戻ってきたのが見えた時には思わず笑ってしまった。馬じゃないんだから。距離感がおかしすぎた。

 

 普通に楽しんで見ることができていたのだが、最後の最後に犯人がホームレスを殺した理由を知って、なんだそれ?となってしまった。火だるまになるのは嫌だと言っていたのは大昔の話だし、今でもそうだったとしても別の方法で自殺した後に火をつけるだけでよかった。もっと言えば火を放った後に本人が別の方法で自殺すれば、誰の助けも借りずに一人で死ぬことが出来たはずだ。とにかく犯人が殺さなければならない必然性は全く感じらず、一気に白けてしまった。

 

 犯人の行動は完全な蛇足にしか見えなかったが、でもきっとこの映画の肝はこのシーンだったはずなので、何とも言えない気持ちになる。どうしてもやらなければいけないシーンなのだとしたら、もっと必然性が感じられる何かが欲しかった。

 

 

 犯人が罪を告白し、映画はエンディングを迎える。だが、この後にこの犯人がどういう扱いを受けるのかがものすごい気になった。すでに死んでいるはずの人を殺したら罪に問えるのか、問えないのなら犯人にはどんな罪があるのか等、色々と疑問が湧いてくる。そのあたりにもちゃんと言及して欲しかった。

 

 最後の最後に腑に落ちない気分にさせられてしまう映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 福澤克雄


原作 祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

 

製作総指揮 那須田淳/平野隆

 

出演 阿部寛/松嶋菜々子/溝端淳平/田中麗奈/キムラ緑子/烏丸せつこ/春風亭昇太/音尾琢真/飯豊まりえ/上杉祥三/中島ひろ子/桜田ひより/及川光博/伊藤蘭/小日向文世/山﨑努/恵俊彰/杏

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音楽 菅野祐悟

 

祈りの幕が下りる時 - Wikipedia

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