★★★★☆
あらすじ
大統領選挙の有力候補者が死亡した自動車事故をたまたま録音していた音響効果マンは、事故に疑念を抱き、独自に調査を始める。
原題は「Blow Out」。クェンティン・タランティーノ監督が名作の一つに挙げた作品。
感想
冒頭の無駄に女性の裸が登場するB級感漂う雰囲気に不安を覚えさせておいてからの、主演のジョン・トラボルタの登場で安心させる演出だ。構えて見ていたのにハードルをグッと下げさせて、いきなりうまい。
夜の河原で効果音を録音していた主人公は、大統領候補の死亡事故に遭遇する。同乗していた女性を助けて病院で警察の聴取を受けるが、様子がおかしい事に気付いて独自に調査を始める。まったくの無関係な第三者で、ヤバそうな雰囲気も漂っているのだから関わらなければいいのに、真実が握りつぶされそうとしていることに危機感を抱いて動き出したわけで、その正義感の強さに戸惑わないでもない。
主人公の調査の仕方が、現場に行ったり関係者に会ったりするのではなく、映画関係者らしく、証拠となる映像や音響素材をよく調べることがメインとなっているのが面白い。あまり見ることのない映画の編集など裏方の作業内容を見ているようで、地味なのに見とれてしまう。
監督のブライアン・デ・パルマの特徴的な手法、分割画面もそうだが、カメラが部屋をぐるぐる回り続けるカットだったり、長回しだったり、スローモーションだったり、独特のアングルだったりと、とにかく映像が凝っていて、それだけに注目していても楽しめる。きっと監督は主人公の様な地味な作業が好きなのだろうなと勝手に想像してしまった。
最後はめでたしめでたしで終わるのかと思っていたので意外な結末だった。しかしそれが冒頭の伏線の回収にもなっていて見事だ。見事なのだが「地獄変」的な恐ろしさもあって、なんとも言えない複雑な気分になるエンディングだった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ブライアン・デ・パルマ
出演 ジョン・トラボルタ/ナンシー・アレン/ジョン・リスゴー/デニス・フランツ
音楽 ピノ・ドナッジオ
撮影 ヴィルモス・ジグモンド
編集 ポール・ハーシュ
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