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「マイ・ボディガード」 2004

マイ・ボディガード 通常版 [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 アル中の元軍人は、古い友人の紹介で幼い少女のボディーガードを務めるようになる。

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 原題は「Man on Fire」。146分。

 

感想

 過酷な軍人生活で心を病み、アル中となった男が主人公だ。元同僚の紹介で富豪の幼い娘のボディーガードを務めることになる。彼がこの少女と楽しく会話したり、水泳の特訓をする様子は微笑ましいものがあった。彼女と交流することで次第に心の傷が癒え、主人公は再生していく。

 

 ただ、仕事を始めた時の彼の冷淡な態度から考えると、180度変わり過ぎだ。最初はまだ余裕がなかったからなのだろうが、あんな態度をいきなり取られたら、もう親密にはなれないような気がする。最終的には打ち解ける気があったのなら、もっと言いようはあったはずで、面倒くさい人だなと思ってしまった。

 

 

 そして誘拐事件が発生する。主人公は少女を守り切れずに銃撃戦で倒れ、目覚めた時には事件は悲劇的な結末を迎えていた。だがそれを知って泣いたり落ち込んだりしないところが軍人らしかった。辛い事実を受け入れ、淡々と復讐に取り掛かる。

 

 ここから主人公の非情な復讐劇が始まる。敵の手がかりをつかむため、躊躇なく関係者を拷問し、情報を聞き出しては殺していく。なかなか残酷だが、悲壮感漂う主人公の覚悟が伝わってきて見ごたえがあった。プールで泳げば、誘拐時に受けた傷口が開き、血で水が赤く濁る。

 

 途中で衝撃の真相も明らかにしつつ、主人公はついに敵の大ボスまでたどり着く。だがこの最後の最後で主人公が取った行動はよく分からなかった。大ボスの妻と弟を人質に取っていたのに、自分まで差し出す必要はあったのだろうか。相手だって主人公の身柄を手に入れたところで何の利益にもならない。できることと言えば、仲間をたくさん殺された報復くらいだ。

 

 それに、これまで散々手段を選ばず冷酷な手を使って復讐してきたのに、最後の大ボスは見逃がしてしまうことが納得いかない。そこも容赦なく問答無用で倒して欲しかった。取引の約束を守って急に律義になってしまったが、復讐する理由がなくなってしまったからなのか。しかしあまりに都合の良い結末だった。

 

 最初と最後がモヤモヤしてしまうのがネックだが、2時間以上の上映時間も気にならない緊迫感のある映画だ。ただ、短いカットを重ねる不安定な映像手法を多用するのが気になった。トニー・スコット監督らしさを感じる映像手法で、不穏さを表わしたり、拷問シーンの残虐さを中和する効果はあったが、どちらかというと煩わしさを感じてしまうことの方が多く、全体としてはマイナスになっているような気がする。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作 トニー・スコット

 

脚本 ブライアン・ヘルゲランド

 

原作 燃える男 (集英社文庫)

 

出演 デンゼル・ワシントン/ダコタ・ファニング/クリストファー・ウォーケン/ジャンカルロ・ジャンニーニ/ラダ・ミッチェル/マーク・アンソニー/レイチェル・ティコティン/ミッキー・ローク

 

音楽 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ/リサ・ジェラルド

 

マイ・ボディガード (2004年の映画) - Wikipedia

 

 

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