★★★★☆
あらすじ
恋人と同棲する男の元に、15年間も音信不通だった学生時代の友人が訪ねてくる。
感想
だらだらとユルい会話が交わされながら展開する物語だ。このスタイルは会話が面白くなかったら終わりで、特に邦画はそうなりがちな印象があるが、この映画はちゃんと面白く仕上がっている。演じる井浦新、窪塚洋介らが自然体で、そのための良い空気感を作り出している。
ただ序盤は、そのユルい会話劇だけに終始するのかと若干の不安があったのだが、やがて学生時代の友人三人とそのうちの一人の同棲相手の四人でドライブに出かけることになり、ロードムービーぽくもなってきて閉塞感は薄れた。それでも主体は会話劇で、中でも海辺のブーメランのシーンでの、一瞬あれ?と不安にさせておいてからの回収するくだりはニヤリとさせられた。
彼らの会話からそれぞれの関係性や過去に何があったのかが少しずつ分かって来るのだが、そこから見えてくるのは彼らの過去に対する捉え方の違いだ。未だにそれを引きずっている人間もいるし、思い出すこともないくらい忘れてしまっている人間もいる。過去の消化の仕方は人それぞれで、食事や会話のペースが合わない人とは長く付き合えないように、これもまた人間関係を決める要因の一つになるのだろう。彼らが15年間も疎遠になってしまった理由もきっとこれにある。
会話の内容はあちこちに飛び、中には回収されなかったエピソードも多いが、日常とはこういうものだよなと思わせてくれる映画だ。彼らの会話を聞きながら、様々な思いが心をよぎった。死んだ人間が人々をつなぎとめることもある。だけど再会した彼らの関係がまた自然消滅していくような予感もある。
最初のシーンがどこにつながるのかがちょっと分かりづらかったが、このシーンの後に旧友に会いに行ったということなのだろう。もうちょっとコンパクトにまとめてくれても良かったような気がするが、余裕がある時にじっくりと見たい映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 前田司郎
出演 井浦新/窪塚洋介/市川実日子/倉科カナ
音楽 岡田徹
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