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「ナイル殺人事件」 1978

ナイル殺人事件(1978)(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 友人の恋人を奪って婚約した富豪の女性は、ナイル川下りの新婚旅行に出かけるが船の中で何者かに殺されてしまう。

 

感想

 富豪の女性が友人に恋人を紹介されたシーンから、その恋人を奪って略奪婚をしたシーンへの切り替えが劇的すぎて、最初はそれに全然気づかなった。あれ、こんな顔だったっけ?と違和感を感じながらも、友人が恋人を奪われたことに気付いたのはしばらくしてからだった。初見では、見慣れぬ女優の顔の見分けは難しい。

 

 やがて場面は、二人のエジプトでの新婚旅行の様子を映し出す。今も出来るのか知らないがピラミッドの頂上に登ったり、さまざまな遺跡を見てまわったりと観光映画ぽさがあって、見ていたら普通にエジプトに行ってみたくなった。

 

 恋人を奪われた友人が途中で何度も現れて不穏な空気を醸し出しつつ、いよいよ本題のナイル川下りの船旅が始まる。しかし集まった他の乗客たちが皆富豪の女性と因縁がある人たちばかりで、さすがに出来過ぎだろうと思わなくもなかったが、これは推理物のお約束みたいなものだから、引っかからずに受け流すべきところだ。

 

 そしてついに富豪の女性が殺され、乗り合わせていた名探偵ポワロによる捜査が始まる。乗客を一人ずつ尋問し、犯人の可能性をシミュレーションしていくのだが、それが全部ワンパターンすぎて呆れてしまった。犯人はたまたまその前に起きた事件を目撃して銃を奪い…というもので、三回目くらいからはまたそれかよ、とツッコんでしまっていた。

 

 

 ただ後で、これは観客をミスリードするためにわざとやっていた演出だったことが分かる。犯人は彼らのうちの誰かだと思い込ませるための上手い手口だったが、さすがにわざとらしすぎて、逆に別の何かがあるのだろうなという予感が芽生えてしまった。

 

 だが、ポワロのとぼけたキャラクターや次々と起きる事件がそれを頭から追いやってしまって、結局最後まで推理を楽しむことができた。しかも最後に犯人が分かった時には、そんな気がしてた!と言いたくなるような、絶妙なさじ加減の匂わせ具合いだった。

 

 少し気になったのは、乗客らが誰も自分の部屋に鍵をかけていなかったことだ。誰もが勝手に部屋に出入りできてしまう。もしかしたら鍵が付いていないのかもしれないが、それで不安を感じないのかと不思議だった。皆がちゃんと用心して戸締りをしていたならこんなに事件は起きなかっただろうにと思ってしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督 ジョン・ギラーミン

 

脚本 アンソニー・シェーファー

 

原作 ナイルに死す〔新訳版〕 エルキュール・ポアロ (クリスティー文庫)

 

出演 ピーター・ユスティノフ/ジェーン・バーキン/ロイス・チャイルズ/ベティ・デイヴィス/ミア・ファロー/ジョン・フィンチ/オリヴィア・ハッセー/ジョージ・ケネディ/アンジェラ・ランズベリー/サイモン・マッコーキンデール/デヴィッド・ニーヴン/マギー・スミス/ジャック・ウォーデン/サム・ワナメイカー

 

音楽 ニーノ・ロータ

 

撮影 ジャック・カーディフ

 

ナイル殺人事件 (1978年の映画) - Wikipedia

 

 

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