★★★☆☆
あらすじ
幼いころに父親を殺された青年は、復讐を果たすために少林寺の門弟となり武術を学ぶ。
香港映画。101分。
感想
コミカルシーンがほとんどないシリアスな映画だ。主人公が口をきけない設定なのでセリフもなく、前半はほとんど修行のシーンとなっている。
主人公は少林寺内でたまたま知り合った尼僧や幽閉されている男から個別に武術を学び、力をつけていく。しかし、普段は水汲みと薪割りしかしておらず、寺の指導の下で修業をする様子が全くないのが不思議だった。
少林寺のシステムは良く分からないのだが、系統だって武術を教えることはなく、日本の職人のように目で見て盗め、という事なのだろうか。それとも、寺の中でこれはという人を見つけてお願いし、師弟関係を結んで修行するのだろうか。もしくは通常の武術の練習はあるが描かなかっただけ、というだけの事なのかもしれない。
主人公は、武術の成果を示すために、少林寺伝統のたくさん並んだ木製のからくり人形「木人」と戦う試練の儀式を行う。この木人が、一応は鎖をつないだりしてそれらしくはしてあるのだが、どう考えてもその構造でその動きはおかしいだろうみたいな挙動をするのが可笑しかった。
試練をクリアして寺を出て、父親の仇を探す主人公は、もめ事に関わるうちについにその相手を突き止める。その正体に驚きながらも、怒りが込み上げてくる主人公の表情が迫真で、何とも言えず良かった。こちらの気分も盛り上がる。
そしてクライマックス。相手を叩き潰して終わるのではなく、相手に敬意を示し、そして許そうとする主人公に胸が熱くなった。そして、いい結末だ、としみじみしていたらまだその先があって、えっ?となってしまった。この映画ではそれぐらいで?みたいな事で突然簡単に人が死ぬことがあって戸惑わせられる。ただ後から考えると、相手はうっかりミスではなく自ら死を選んだ、ということであれば納得がいかない事もない。
スタッフ/キャスト
監督/製作総指揮 ロー・ウェイ
監督 チェン・チーホワ
出演
カム・コン/ドリス・ロン/ユン・ピョウ