★★★☆☆
あらすじ
1963年に起きたケネディ大統領暗殺事件。事件発生の日から4日間の関係者の様子を描く。
感想
ケネディ大統領暗殺事件からの4日間が描かれる。色々と陰謀論のある事件だがそれらに触れることはなく、ただ淡々と関係者の様子が描かれていく。タイトルとなっている「パークランド」は銃撃された大統領が運び込まれた病院だが、その数日後には同じように襲撃された犯人も運びこまれていたとは知らなかった。
衝撃的な世紀の大事件の重要人物が立て続けに運び込まれてきたわけで、医者たちにとっては青天の霹靂だっただろう。しかもどちらも助けることは出来ず、死なせてしまっている。徒労感は半端なかったはずだ。ちなみにこの映画では描かれていないが、犯人オズワルドを暗殺した犯人もまたこの病院で死んでいる。何とも奇妙な縁を感じてしまう。
そして誰もが一度は目にしたことがあるだろうケネディ大統領暗殺の瞬間をとらえたフィルムを撮影した男も登場する。撮影後の彼がひどく動揺し、落ち込んでいるのを見てとても意外な気がしたが、目の前で大統領が暗殺されたので当然といえば当然か。だがそれだけでなく、当時は今みたいに衝撃映像なんてなかなか目にする機会がなかったので、とんでもないものを撮ってしまったという恐れのようなものがあったのだろう。自然の摂理に反することをしてしまったという罪の意識が感じられた。今なら皆免疫があるので、スマホを持ってウキウキで現場に群がるのだろうが。
犯人オズワルドについては、彼の兄の目を通して描かれる。だが彼よりも彼らの母親のヤバさの方が強烈で、そちらにばかり目が行ってしまった。事の深刻さを理解しているのかいないのか、ずっと陰謀論めいたことを口走っており、異常さが際立っていた。犯人も似たような感じで、色々な陰謀が囁かれているが、やはり犯人はこいつだなと確信してしまうような何かがあった。
犯人がおかしなことを言っているのを真に受けてしまった人がたくさんいて、そこから陰謀論が次々と生まれていったのだろう。いつの時代にも自分だけが真実に気付いていると思いたがる人はいるものだ。今はそんな人が集いやすいので酷いことになっているが。
大統領と犯人の葬儀を対比させつつ描くなど工夫が見られるが、全体的なまとまりに欠ける印象だ。だがドキュメンタリー的に見るなら興味深く、これまでとは違った角度から事件を知る手助けをしてくれる映画とは言える。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ピーター・ランデズマン
原作 Reclaiming History: The Assassination of President John F. Kennedy
製作 トム・ハンクス/ゲイリー・ゴーツマン/ビル・パクストン/ナイジェル・シンクレア/マット・ジャクソン
出演 ジェームズ・バッジ・デール/ザック・エフロン/ジャッキー・アール・ヘイリー/コリン・ハンクス/デヴィッド・ハーバー/マーシャ・ゲイ・ハーデン/ロン・リヴィングストン/ジェレミー・ストロング/ビリー・ボブ・ソーントン/ジャッキー・ウィーヴァー/トム・ウェリング/ポール・ジアマッティ/ギル・ベロウズ
パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間 - Wikipedia
登場する人物
リー・ハーヴェイ・オズワルド/エイブラハム・ザプルーダー/ケネス・オドネル /ジョン・F・ケネディ/ジャクリーン・ケネディ・オナシス