★★★☆☆
あらすじ
恋人が中国に駐在することになり、ドイツに一人残った大衆食堂のオーナー。ドイツ映画。
感想
厨房にも立っていた食堂オーナーである主人公が、ある日腰を痛めたことから店が回らなくなってしまう。そこに店の買収を目論む不動産屋の保健所への密告や、税金滞納による差し押さえなどのトラブルに立て続けに見舞われ、存続の窮地に陥ってしまった大衆食堂。
そんな大衆食堂にクセの強いメンバーが集まって店を再建していく話。ではあるのだが、そんなにそこはメインではない感じ。店がヤバいから何とかしなければといった焦燥感や、こうすればいいんじゃないかみたいな試行錯誤も描かれず、ただ状況に流されていたら繁盛した、みたいな流れ。
「王様のレストラン」的な展開を期待していたので、あまりに締まりのない物語に物足りなさを感じてしまった。基本的にコメディなので、その行き当たりばったりのへらへらした感じを楽しむべきだったのだろう。レストランの話だと思っていたのに、最終的には主人公個人の話に収斂してしまっていたのも何か違うな、と思ってしまった。
わざわざ「ソウル・キッチン」という食堂にするくらいのドイツ映画なので、音楽にはこだわりを感じる。クール・アンド・ザ・ギャングの曲が流れて始まる、まるでブラックスプロイテーション映画のような幕開けからラストまで、劇中で使われる曲はどれも良い。それだけに選曲はいいのに、と思ってしまう自分がいた。ただ、とりあえず隙あらば音楽関連の機材は盗む、という設定には笑ってしまった。
勝手にハードルを上げてしまった感はあるが、気軽に見るには悪くない映画ではある。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 ファティ・アキン
脚本/出演 アダム・ボウスドウコス
出演 モーリッツ・ブライブトロイ/ビロル・ユーネル/ヴォータン・ヴィルケ・メーリング/モニカ・ブライプトロイ/セム・アキン/ウド・キア