★★★☆☆
あらすじ
テロリストに乗っ取られ核爆弾が持ち込まれた列車を追う国連の特殊部隊。
原題は「Alistair Maclean's Death Train」。100分。
感想
タイトルバックもなくスッと物語が始まってしまう様子に、ずいぶんとあっさりしているなと思ったら、これはテレビ映画だった。
核爆弾を積み、人質を取ってヨーロッパ大陸をどこに向かうか分からず疾走する列車。なかなか手を出せそうもない状況にもかかわらず、主人公らのチームが随分とカジュアルに何度も突撃するのに驚いた。その度に報復として人質が殺されていく。だが万が一核爆弾が爆発すれば、ヨーロッパ中が被害に遭う。それに比べたら仕方がない犠牲ということか。ドライだ。
主演のピアス・ブロスナン演じるリーダーが率いる特殊部隊は傭兵たちの集団で、その中に狙撃の名手として一人の女性が加わっている。主人公は、女性だからと彼女に不安を感じ、彼女はそれに反発している。この二人が仲良く喧嘩する様子も見どころの一つになっているのだが、この掛け合いはそれほどうまくいっているようには見えなかった。
中盤までは、作戦を決行しては失敗の繰り返しが続く。それでも皆がまったく気にしておらず、淡々としているのが印象的だった。いちいち落ち込んでいたりしたら精神的に持たないということだろうか。焦る様子もなくのんきな雰囲気に何やってんだと思う部分もあったのだが、終盤にようやく攻撃の糸口を見つけ、反撃を開始してからはグッと面白くなった。
そしてよく考えると主人公はあまり大したことはしておらず、あんなに馬鹿にしていた女性隊員がほぼ一人で大活躍している。主人公には見せ場らしき見せ場はなかったのではないだろうか。クライマックスで女性隊員が敵に突撃するときに、ずっと声を出していたのが面白かった。そんなことしたら敵に見つかりやすいだろうと冷や冷やしてしまう。その前のカメラマンに扮した彼女が敵を射殺するシーンも良かった。
ノンストップで走る列車や核爆弾、そして人質の存在など、状況を考えるともっと緊張感があっても良かったし、もっと面白く出来たような気もするが、それでもなかなか悪くない娯楽映画になっていた。続編が作られたのも納得できる。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 デヴィッド・S・ジャクソン
原案 アリステア・マクリーン
出演 ピアース・ブロスナン/パトリック・スチュワート/アレクサンドラ・ポール/テッド・レヴィン/クリストファー・リー
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