★★★☆☆
あらすじ
殺し屋として働きながら、良き家庭人として生きていた男。
実在した殺し屋リチャード・ククリンスキーを描いた物語。マイケル・シャノン主演、ウィノナ・ライダー、ジェームズ・フランコ、レイ・リオッタら出演。105分。
感想
主人公は感情を表に出さず、冷酷に人を殺していく男だ。マフィアに脅されても殴られても全く動じない序盤の姿が印象的だったが、それがきっかけで殺し屋として雇われることになる。演じるマイケル・シャノンが存在感のある演技を見せている。
命じられるままにためらうことなく仕事をこなしていく主人公だが、その一方で家庭では良き夫であり、良き父親だった。ただ、これはわりとよくある話なので、そんなに驚きはない。彼が家庭を大事にし、家族からも愛されていることがよく分かって、羨ましくなるくらいだった。娘たちの父親を見つめるまなざしが慈愛に満ちている。
だが順調だった仕事が、些細なミスから調子が狂っていく。不運も重なり、それが焦りを生んで、どんどんと泥沼にハマっていってしまった。そしてそれが家庭にも悪影響を及ぼすようになる。悪事に手を染めた者の分かりやすい末路だ。
映画の雰囲気も良く、それなりに面白いのだが、レイ・リオッタ演じるボスがいつの間にかふんわりと退場してしまったり、最後に突然警察が登場したりと、展開にぎこちなさがあった。
そして、主人公の恐ろしさがそこまで感じられないのも物足りない要因になっている。主人公目線で描かれるので感情移入してしまい、家族を養うためなのだから割り切ってやるのは当たり前だろう、と思ってしまう。彼の場合、殺人に快楽を覚えるタイプでもないのでなおさらだ。
だから、彼を追う警察など他者の視点から描いた方が良かったのかもしれない。そうすれば、なんでこんな冷酷な事が出来るのだ?それなのに温かい家庭を持っていたなんて!と驚くことが出来たような気がする。
それに仕事での殺しよりも、仕事以外の利己的な殺しの方が怖さがあったので、そちらを強調した方が怖さがもっと出たような気もする。不正をしたサラリーマン程度にしか感じられない殺し屋の物語になってしまっている。逮捕後のまったく反省の素振りを見せない彼の独白にも、仕事だったからね、と思ってしまった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 アリエル・ヴロメン
原作 氷の処刑人
製作総指揮 レネ・ベッソン/ボアズ・デヴィッドソン/ダニー・ディムボート/ラティ・グロブマン/アヴィ・ラーナー/ローラ・リスター/トレヴァー・ショート
出演 マイケル・シャノン/ウィノナ・ライダー/ジェームズ・フランコ/レイ・リオッタ/クリス・エヴァンス/デヴィッド・シュワイマー/スティーヴン・ドーフ/エリン・カミングス/ロバート・デヴィ/ヴェロニカ・ロサティ/ジョン・ヴェンティミリア/クリスタ・キャンベル
登場する人物
リチャード・ククリンスキー/ロイ・デメイオ
