★★★★☆
あらすじ
死んだ姉に代わって同窓会に参加した妹は、姉に間違えられ、かつて思いを寄せていた男に声をかけられる。
岩井俊二監督が中国で製作した中国映画。
感想
岩井俊二監督が中国で撮った作品で、どこか日本ぽいけど日本ではないアジアな風景の中で監督の世界観が見られるのはそれだけでグッとくるものがある。単純に映像を眺めているだけでも満足できてしまうところがあった。
撮影の順番的にはこちらが先だが、同じ原作で後に日本で作られた「ラストレター」をすでに見ているので、ストーリー的にはその内容を再確認するような感じだった。主人公の息子が甥に変わっている等、多少の違いはあったがほぼ同じといっていい内容となっている。
日本版と中国版を見比べて感じるのは、中国版の30年前から現在への変貌ぶりのすさまじさだ。現在と30年前を行き来する物語で日本は大した変化がないのだが、中国版だと着るものから住むところまでものすごい変わっている。特にファッションの違いは顕著で、手作り感あふれる野暮ったい服だったのが、他の先進国の都市と同様な洗練された服を着るようになっている。
それだけ中国は大発展したということで、同じ30年間を停滞したまま過ごした日本からすれば羨ましい限りだ。日本もかつてそんな時代があって、それが遅れて中国でも起きただけのことだが、そんな時代を体験してみたかった。ちなみに日本ではいまだにこの30年前のイメージで、現在の中国を見ている人が多いような印象はある。
登場人物たちがみな秘密を持っていて、ふとした瞬間にそれを打ち明ける。人間誰しも何もかもをさらけ出して生きているわけではない。だけどずっと隠してもいられない。そんな人間の機微が感じられる映画だ。
なかなか良い映画だったが、日本版のほうがより出来はいいように感じた。後から作られただけに、設定がブラッシュアップされ、プロットにメリハリがつけられるなど、改善が施されている。
スタッフ／キャスト
監督／脚本／原作／製作／音楽 岩井俊二
製作 ピーター・チャン
出演 ジョウ・シュン／チン・ハオ／ドゥー・ジアン／チャン・ツィフォン／ダン・アンシー／フー・ゴー
撮影 神戸千木
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