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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ワイルド・チェイス」 2000

ワイルド・チェイス(字幕版)

★★☆☆☆

 

あらすじ

 盗んだ金塊を隠したまま死んでしまった囚人と同部屋だった男は、隠し場所を聞き出したと思われ、当局からは監視され、共犯の男には付きまとわれるようになる。原題は「Bait」。

 

感想

 冒頭は硬派な金塊泥棒のシーンと、主演のジェイミー・フォックス演じるコソ泥のコミカルな海老泥棒シーンが交互に描かれていく。これらがうまく融合し、いい感じのアクションコメディになっていくのかと思ったが、そうはならずにどこか調子外れのコメディーが続くことになる。

 

 笑いが滑り気味になってしまっているのは、コメディーをやっているのが主人公だけだからだろう。彼を監視する監視官や接触を図る共犯者はシリアスな態度を崩さない。これでは主人公が浮いてしまうに決まっている。そこは状況に合わせて柔軟にやって欲しかった。

 

 

 それから主人公のギャグが、基本的にはスカすタイプのものばかりなのも問題があった。最初は強気に出るが、相手に圧力をかけられるとすぐ謝る、みたいなパターンの繰り返しだ。情けなさばかりが強調されてしまい、全然かっこよくない。逆境で軽口を叩くようなパターンも欲しかった。

 

 シリアスなパートも、死んだ金塊泥棒と同室だったから共犯者や捜査官にマークされてしまった、というプロット自体にリアリティを感じない。元々知り合いだったとか、長期間同室で友情が芽生えたならまだしも、わずか一日だけ同じ部屋にいただけの何者かもわからない犯罪者に、大事な金塊の隠し場所など教えるだろうか(ま、ヒントは教えたのだけど)。手がかりがそれしかないとはいえ、ちょっと苦しい筋だなと思ってしまった。

 

 そして厳密には、主人公は共犯者をおびき出すための「餌」にされたのだが、隠し場所を知らない共犯者を捕まえたところで結局どうしたいのだ?と思ってしまう。

 

 金塊の行方に関しては何も進展なく、ただ主人公が更生し真面目な人生を歩んでゆく姿を、捜査官らが全員で見守り続ける物語になったら微笑ましくて面白いなと思ったがそうはならず、中盤は中途半端なコメディが続く。アクション映画だと思っていたので、フラストレーションが溜まった。

 

 終盤、共犯者が主人公に接触してからようやくアクション映画らしさが出てきて面白くなった。序盤のボクシングや競馬場、本屋のくだりなどが伏線だったことも分かって来て、ああここにつながって来るのかと感心する場面も多かった。意外と緻密に考えられている。

 

 使われる音楽も良かったので、アクションとコメディが分離したままでなく、上手く融合していればなと勿体なく感じてしまう映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督 アントワーン・フークア

 

脚本 アンドリュー・シェインマン/アダム・シェインマン/トニー・ギルロイ

 

出演

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デヴィッド・モース/ダグ・ハッチソン

 

音楽 マーク・マンシーナ

 

ワイルド・チェイス(字幕版)

ワイルド・チェイス(字幕版)

  • ジェイミー・フォックス
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ワイルド・チェイス - Wikipedia

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