★★☆☆☆
あらすじ
恋人とともに薬物中毒を克服し、結婚に向けての新たなスタートを切った矢先、密売人によって将来を滅茶苦茶にされてしまった男は、復讐を誓う。
ロバート・デ・ニーロ、ジョン・マルコビッチら出演。原題は「Wash Me in the River」。101分。
感想
妻を奪った麻薬組織に復讐する男が主人公だ。
序盤は恋人と共に苦しみながら薬物中毒を克服し、荒んだ生活から抜け出して結婚に向けて歩み出す二人の様子が描かれる。とてもいい話なのだが、とても退屈だ。想像できる範囲の内容しかなくて、これに30分以上も費やされるのはしんどい。
その後、密売人によって掴みかけた幸せを台無しにされてしまうのだが、このあたりの描写も典型的だ。映画全体の半分も使って描くことではない。しかもずっとヘヴィーな話で無駄に疲れる。そこはもっと幸福感を出して、絶望のどん底に落とされるまでをさらっと10分ほどで描けば十分だった。
そして後半は、主人公の復讐が始まる。だが、恋人を唆した密売人に対する復讐はすぐに終わってしまう。その後は、さらに上層部へ、薬物を供給する組織そのものを壊滅しようとするのだが、見ている側としてはもう満足してしまって、そこからは蛇足感が強かった。
せめて密売人は逃げるなりして最後まで残しておくとか、ラスボスに憎しみが向くような描写をしておくとか、なんらかの処置をしておいて欲しかった。
このラスボスに至るまでの復讐譚も凡庸だ。主人公を止めようとあとを追うロバート・デ・ニーロ演じる老警官が、負傷した組織の人間を痛めつけて情報を引き出そうとするシーンがヤバくて、一瞬惹きつけられたくらいだろうか。
それから、背後で爆破炎上する中を振り返ることなく平然と歩く、よくあるシーンで、爆破がすごすぎて映像がホワイトアウトし、なにも見えずによく分からなくなってしまっていたのは笑ってしまった。
ラスボスを倒した後、本当のラスボスの正体が明らかになった時は驚いた。それからはそれなりに面白くなったが、いやこの展開はないわーと思っている自分がいた。驚きはあったが無理がある。
何かというと情感たっぷりの音楽が流れたり、キリストの磔刑ぽいシーンがあったり、また原題やラストシーンからも宗教的なものを感じる作品だが、それもまた取ってつけたようだった。特にラストシーンは、あれだけのことをやって許されようとしているの?と呆れてしまった。
スタッフ/キャスト
監督 ランドール・エメット
脚本/原案 アダム・テイラー・バーカー
脚本 クリス・シバートソン
出演 ジャック・ヒューストン/ジョン・マルコビッチ/ウィラ・フィッツジェラルド/クエボ/メドウ・ウィリアムズ/スウェン・テメル/ノエル・G/タイラー・ジョン・オルソン