★★★★☆
あらすじ
イギリスと中国の戦争を仕掛けようと画策するメディア王を追うジェームズ・ボンド。シリーズ第18作目でピアース・ブロスナン版の第2作目。
感想
今回の悪玉はメディア王。世界中にテレビや新聞などのメディアを持ち、権力の弱みを握って情報を操作し、世界を支配しようとしている。今だとそんな事が出来そうなのはネットを支配するIT企業だから、今思えばこの頃が旧来メディアの絶頂期だったのかもしれない。とはいえ今でも旧来メディアの影響力はまだまだ全然大きい。見ない見ないと言いながらみんな結構テレビを見ているし、熱心にネットの新聞記事を読んではマスゴミがーと叩いている。需要はまだあるようだ。
そんなメディア王が画策するイギリスと中国の戦争を阻止しようと奔走する主人公のジェームズ・ボンド。最初は中国との戦いを普通に描くのかと思ってちょっとドキドキしてしまったが、さすがに外交問題になりそうな事を真正面から描くわけがないか。しかし中国とアメリカではなく、中国とイギリスの戦争を目論んでいるというところにイマイチぴんと来ないものを感じてしまうのだが、主人公がイギリス所属だから設定上それは仕方がないだろう。それに現実にあり得ない話でもないはず。
今回は戦車こそ出てこないが、主人公が戦闘機に乗ったり、海に潜ったり、バイクで街を疾走したりと、陸海空に前回同様スケールの大きなアクションが満載で十分に楽しませてくれる。特に東南アジアでのバイクシーンは、相棒がミシェール・ヨーという事もあって、まるでジャッキー・チェンの主演映画みたいな雰囲気が出ていてちょっと面白かった。それから、ミシェール・ヨー演じる女スパイが中国所属だからという理由だけで、彼女が使うパソコンやキーボードの色が真っ赤だったのも、発想が安直すぎて笑ってしまった。
普通は強固な要塞の奥の部屋に籠もって各所に指示を出していそうな悪玉が、現場の最前線に出張って陣頭指揮を出すなんて、いくらなんでもフットワークが軽すぎだろうとツッコみたくなる場面もあったりしたが、最初から最後までダレることなく緊張感のある展開。ストーリーも分かり易くて、娯楽映画としてよく出来ている。
スタッフ/キャスト
監督 ロジャー・スポティスウッド
出演 ピアース・ブロスナン/ジョナサン・プライス/ミシェール・ヨー/テリー・ハッチャー/リッキー・ジェイ/ゲッツ・オットー/ヴィンセント・スキャベリ/ジョー・ドン・ベイカー/ジュディ・デンチ/デスモンド・リュウェリン/サマンサ・ボンド/コリン・サーモン/ジュリアン・フェロウズ/マイケル・バーン
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前作 シリーズ第17作 ピアース・ブロスナン版 第1作目
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