感想
原爆がテーマになった作品と聞くと、観る前からすでに重い気分になってしまってなかなか観る気になれないものだが、この作品はいい意味で重苦しくなく、押し付けがましいところもなく好感が持てた。
これには田中麗奈の役どころの影響が大きい。さばさばした性格で、じめじめしそうな物語をカラっとさせていた。田中麗奈はいつもこんな役どころではあるが。
それから堺正章。そんな役だったら別に堺正章じゃなくてもいいのにと心配してしまったが、ちゃんと最後に見せ場があって安心した。
思っていたよりも楽に見ることのできた映画ではあるが、麻生久美子が原爆を落とした人たちにむけて語る言葉や、被爆者の女性と結婚しようとする息子に母親が投げかける言葉は心に刺さった。それから被爆者の子供たちでも、現在まだ30代の人間もいるということには軽い衝撃を覚えた。原爆は歴史上の出来事と客観的に捉えていいほど、遠い昔の話ではないのかと。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 佐々部清
出演 田中麗奈/藤村志保/伊崎充則/麻生久美子/堺正章/吉沢悠/田山涼成/中越典子