★★★☆☆
あらすじ
臆病な侍が、藩で騒動を起こした武芸の達人の追手となる。
感想
いつもはまるで昼行灯のような男だが、実は相当な腕を持っている侍という展開かと思っていたら、本当にただの臆病で腰抜けな侍だった。
相手役の丹波哲郎が男前で驚く。霊界がどうしたとかテレビで言ってる晩年のおかしなおじいさんというイメージしかなかったので、若い頃の男臭い面構えに意外な感じがした。当然、こういうのがあったから、その後もテレビに出たりできていたわけなのだが。
そんな丹波哲郎演じる武芸の達人を追うのは、犬におびえ剣の腕もからきしの松田優作演じる男。正々堂々戦うには無理がある相手に取った彼なりの方法。しかし、これで本当に周りは逃げたりするかなと疑問ではある。どちらかというと松田優作の方が怪しい。とりあえず逃げておくかという感じだろうか。
でもこの方法がうまくいくなら、確かに周りの人間に普通に接してもらえず、普通のことが普通に出来ず、精神的に参ってしまいそうだ。だが最終的にはどうするつもりだったのだろう。これだけじゃ永遠に片が付かないが。
妹の事もあるだろうし、同行した女性の事もあるだろうに、最終的には二人の対決だけに絞ったラストの潔い終わり方が好印象。
スタッフ/キャスト
監督 大洲 齊
原作 ひとごろし (新潮文庫)
出演 松田優作
五十嵐淳子/高橋洋子