★★★★☆
感想
グレイトフル・デッドは、自分にとって名前は知ってるが曲は殆ど知らない存在。試しに自分のPCに曲が入っているか検索してみたら、映画のサントラの中の一曲として「Uncle John's Band」が入っているだけだった。
そんな大きなヒット曲もないようなバンドだが、長い間、数多くのファンを惹き付け活動していた。バンドはメンバー同士が仲が良い必要もあるが、人気がなければ続けられないわけで、その人気を持続させ続けた彼らの取り組みが解説されている。
その取り組みの一つ一つが、まさに今、ネットの世界で行われていることと同じで驚く。コンテンツの無償提供や共有、ファンと直接つながることなど。つまり彼らの存在を知ることのできるチャンスを増やしていくということ。ネット上で口コミを増やしていく手法と同じだ。
こういう手法はなるほどとは思うのだが、いざやろうとすると怖さがある。今でも古い体質の企業はこういう事には及び腰だが、要は自分たちの客を信じられるかどうかなのだろう。さらにもっと言えば、自分たちのやっている事を信じられるか、ということになる。自分たちのやっている事はきっと客に喜んでもらえるから、それを客が他の人達にきっと好意的に伝えてくれるはずだ、と。
こんな風に仕事ができたらきっと楽しいだろうな、と思えてくる。競争とか駆け引きに明け暮れていたら消耗してしまう。グレイトフル・デッドはきっと緻密な計算なんかじゃなくて、自分を含めた皆がハッピーであればいい、という考えでやって来ただけなのだろうが、すごいなと素直に感心してしまう。
下記リンクの著者二人と、この本で解説・監修をしている糸井重里の対談も面白かった。
ほぼ日刊イトイ新聞 - “Unusual(変わってる)...”
著者
デイヴィッド・ミーアマン・スコット/ブライアン・ハリガン
関連する人物
グレイトフル・デッド