★★★☆☆
あらすじ
容疑者となり、警察と依頼人に追われることとなった殺し屋。
感想
状況を説明するような台詞もほとんどなく、淡々と物語が進んでいく。アラン・ドロン演じる殺し屋が仕事の最中にある女に目撃されたことから容疑者の一人となり、警察にて聴取を受けることとなる。しかし警察が来るのを待ち受けていたのは何故なのだろう。しっかり顔を見られていたと認識していたのだから、逃げればよかったのに。アリバイの口裏合わせをしっかりしているから逮捕はされないという自信があったということか。
そして主人公の目論見通り無事釈放されるのだが、疑いを深めた警察にマークされ、自らにも捜査の手が伸びることを恐れた殺しの依頼主にもつけ狙われることになる。主人公は監視の目を意識しながらの行動を余儀なくされる。
尾行を巻くために地下鉄を何度も乗り換えたりしているのだが、別に家でじっとしていればいいのに、と思わなくもない。そんな怪しい動きをするから警察にますます疑われる。ただ、もう一方の自分を消そうとしている殺しの依頼主の行動をじっと見ているわけにはいかないから仕方がない部分もある。とは言えこの部分が物語の大部分を占めていて、そんなに力を入れて描く所なのかなと思ってしまった。
何とも言えないラストは、受けた仕事は必ず遂行するという男の矜持と、受けた仕事の内容に対するためらいとの間で生じたジレンマが、あの結末になったということなのだろうか。この手の映画でいつも思うのは、何も死ぬことないのにということだ。サムライの精神のようなものも感じなかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル
出演
フランソワ・ペリエ/ナタリー・ドロン/カティ・ロシェ/ミシェル・ボワロン/ジャック・ルロワ