★★★☆☆
あらすじ
代々受け継がれてきた財産を失い、妹夫婦の家に身を寄せることになった女性。
感想
とりあえず主人公の妹の夫役、マーロン・ブランドの存在感に目を見張らせられる。そりゃ人気がでるわ、というスター性が半端ない。それなりに重要な役を担っているが、もっと登場シーンを増やしてもいいのではと思わせる。
夫と死に別れ、家族の看護などで財産を失い、妹を頼って出てきた女。可哀想な境遇ではある。しかし、元は良家のお嬢様だという意識が、庶民的な暮らしをする妹夫婦や周囲と軋轢を生む。
とは言え、そんなに広くもない家に、義理の姉とはいっても他人が何ヶ月も同居するとなると、誰であろうとストレスが溜まってくるのは仕方がないことではある。出ていく気配がないのもつらい。
主人公は落ちぶれてしまった現在を受け入れられず、過去にすがり精神的にもおかしくなってしまっている。それを妹をはじめ女たちは、可哀想な人だからとやりたいようにさせている。優しいといえば優しいのだが、彼女のためにならない優しさのような気がする。どんどんおかしな世界に入り込んでいってしまう。
そしてそれまで明かされてこなかった彼女の悪い噂に対する真実が、彼女の口から語られるシーン。悲しい女の性が垣間見られるシーンともいえるが、おいおい、何てことを堂々と語ってんだよ、という思いのほうが強かった。
気分がどんよりとしてしまうエンディングではあったが、でもこれを防ぐためにはどうすればよかったのだろう?という気もする。確かに妹の夫は悪いのだが、それがなくても緩やかにこうなっていただろう。そう考えるとますますどんよりとした気分になってしまう。
スタッフ/キャスト
監督 エリア・カザン
脚本 テネシー・ウィリアムズ/オスカー・ソウル
出演 ヴィヴィアン・リー/マーロン・ブランド/キム・ハンター/カール・マルデン