★★☆☆☆
あらすじ
生物兵器の開発のために研究されていたウィルスが、事故により全世界に蔓延し、南極大陸に滞在していた観測隊員らを残して、人類はほぼ全滅してしまう。
感想
2時間半以上ある大作。ではあるが、この内容であれば1時間半程度にまとめてほしかったというのが正直な感想。ウィルスが蔓延し、人類が絶滅していく様子を一時間ほどたっぷりと描いていくのだが、今だったらこのくだりはいらない。当時はこのウィルスが蔓延していくと言う話は聞き慣れなかったから丁寧に描かれたのだと思うが、現在だと割とありがちな話なので苦痛に感じてしまった。
人類がほぼ全滅、の長々としたくだりが終わると、たまたま生き残った南極の各国の人々が集まって、今後についての話し合いが始まるのだが、ここからようやく少し面白くなりだした。もう自分たちしかいないのに、相変わらず米ソが偉そうにすんな、とかアルゼンチンはすっこんでろとか、それぞれが国を背負って発言していたり、圧倒的に女性が少ない状況で子孫繁栄のためにどうするかなど、なかなか興味深い話が出てくる。感染者がいると思われる潜水艦に対して行った処置などは、ワイルドすぎて笑ってしまった。
年月が経ち、落ち着いて暮らす事ができるようになった彼らに、再び危機が訪れる。その危機を回避するために草刈正雄演じる男らが立ち上がるわけだが、もう人類はほぼいないので敵は自然と機械。どちらも空気を読めない相手だけに、盛り上がりは全然ない。アクションと言うよりは、人類が自ら引き起こしてしまった危機に対する皮肉のようなものが描かれている。
各シーンが異常にたっぷりとした間を使っていて、観ていて辛かった。でもこれは映画のせいというよりも時代のような気がする。昔はこれぐらいのゆったりとしたペースで生きていたが、今はもっとスピードが上がっているということなのだろう。ちょっとでもだらけるとついついスマホに手を伸ばしそうになってしまう。
ハリウッド俳優らも起用したり、南極を始め世界各国で撮影を行っており、日本映画とは思えないほどのスケールの大きさを感じる映画。当時の映画人達のすごいものを作ってやろうという情熱や意気込みが感じられて、その点では好感が持てる。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 深作欣二
原作 復活の日 (角川文庫)
製作/出演 角川春樹
出演 草刈正雄/ボー・スヴェンソン/オリビア・ハッセー/夏木勲/グレン・フォード/多岐川裕美/ロバート・ボーン/千葉真一/チャック・コナーズ/渡瀬恒彦/ジョージ・ケネディ/緒形拳/森田健作/永島敏行/エドワード・ジェームズ・オルモス/小林稔侍/ヘンリー・シルバ/中原早苗
音楽 テオ・マセロ/羽田健太郎
撮影 木村大作
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