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「肉体の門」 1964

肉体の門 

★★★★☆

 

あらすじ

 終戦直後、厳しい掟を課して女だけで運営されていた売春組織に、一人の若い男が迷い込む。

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感想

 戦後間もない皆が生きるのに必死だった時。生きるためには綺麗事など言っていられないそんな時代。そんな中で男に頼らず、自分たちの力で生き抜こうとする女たちにはたくましさが溢れている。肌をテカテカに照からせて、奔放に笑い、叫ぶ。

 

 そんな女たちの根城に、怪我を負った宍戸錠演じる若い男が逃げ込んでくる。この男がまたワイルドだ。米兵とは刃傷沙汰を起こすし、町の罪なき人々を襲い、金品を強奪するし、しまいには牛をかっぱらって来てその場で屠殺する。映画でなかなか牛をさばくシーンなど見られない。そんな生命力に溢れた男に、女たちは魅了されていく。

 

 

 監督が鈴木清順ということで少し身構えて見ていたのだが、普通に面白く見ることが出来た。ただ女たちそれぞれにテーマカラーのようなものがあったり、女たちが背中合わせで座って歌う中をカメラがぐるぐると回ったり、妙な映像のオーバーラップがあったりと、らしさも感じられた。

 

 たくましく生き抜く美しさもあるが、生き抜けなかった者の中にも「生きた」と感じられるような美しい瞬間がきっとあったはずだ。潔いエンディングだったが、深く余韻が残った。

 

スタッフ/キャスト

監督 鈴木清順

 

原作 肉体の門――田村泰次郎傑作選 (ちくま文庫)

 

出演 河西都子/野川由美子/松尾嘉代/石井富子/宍戸錠/野呂圭介

 

音楽 山本直純

 

肉体の門

肉体の門

  • 宍戸錠
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肉体の門 (1964年の映画) - Wikipedia

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