★★☆☆☆
あらすじ
交通事故で死んでしまう幼馴染の恋人を救うため、何度も時間を巻き戻すが、どうしても助けられれない男。
感想
日本の恋愛映画で恋人が死ぬというパターンは何割くらいあるのだろう? と思ってしまうくらいよく見る気がする。ただこの映画は、安易すぎるというのは自覚しているらしく、そこにタイムスリップの要素を追加している。
時間を巻き戻すことができる秘密のレコード。坂口健太郎演じる主人公はこれを使って、何度も時間を巻き戻し、いつも完璧な自分になるようにしていた。ただ事あるごとに時間を巻き戻していたら、最終的には虚無の境地に陥ってしまいそうな気がする。頭がおかしくなってしまいそう。
そんな彼が思いを寄せる幼馴染が交通事故で死ぬ。彼女を救うために主人公は時間を巻き戻すが、どうしても彼女を救えない。そのうちに、ふとしたきっかけで彼女も秘密のレコードの存在を知ることになり、二人は気持ちを打ち明けあい、恋人として一年前からやり直すことにした。しかし、やはり彼女を交通事故から守ることはできなかった。どうやら運命で決まっているから不可能らしい。
この辺りまでで色々とすでに疑問がむくむくとこみ上げまくっている。なんで時間を巻き戻せるのに、主人公はうまいことやって彼女と恋人の関係になっていなかったのか?とか、ほかの事はさんざん変更できるのに死だけは運命だから変えられないというのはおかしくないか?とか。
そもそも交通事故でどうしても死んでしまうというのは、ちょっと馬鹿っぽい。飛行機事故や列車事故ならともかく、道に飛び出して轢かれるというのは、ちょっと注意すればいいだけなのに。彼女も時間を巻き戻せることを知っているのだから、主人公が「お前交通事故で死ぬことになっているから、気をつけろよ」と言えばすみそうなものなのに。死ぬと分かっていても本人、道路に飛び出しちゃうの?とか想像すると、リアリティがなさ過ぎて笑ってしまう。
不治の病みたいなものであれば、どんなに時間を巻き戻したところで大学生が簡単にそれを治せる薬なんて開発できないだろうから、納得はできた。ただそれでもベタだし、病気で動けないと二人で思い出を作ることも出来なくなってしまうというのもあるが。
二人は最終的に運命を受け入れることにする。その理由が何度もトライする事で、主人公の時間を奪っているから、というもの。でもその論理はおかしくて、主人公がそれに時間を奪われ年老いてくわけではなく、ただ巻き戻しているだけだから全然時間は浪費していない。しかも、これまでの人生で何度もそれをやって狂わないでいられる強靭な精神の持ち主だ。しかも、不注意の交通事故なら何とか助けられるような気がしてしまうし。二人は随分と物分かりがいい。
そして、その代わりに最高の思い出を作ってあげようとか、随分とドライだ。最高の思い出を作ったからいいよねというのも納得できない。エンディングも、それ自分が死ぬと分かっていて色々準備したの?と呆れてしまった。
それからあまり本筋とは関係なさそうだが、イギリスへ留学する予定のmiwa演じる女性に母親が、「どうしても辛かったら帰っておいで」と、かぐや姫「妹」みたいなことを言って感動シーンみたいになっていたが、あれは結婚する人に言うから感動するのであって、このシチュエーションだと、逆に帰ってきちゃダメだったの?と思ってしまって、何か怖くなってしまった。
スタッフ/キャスト
監督 月川翔
出演 miwa/坂口健太郎/竜星涼/真野恵里菜/泉澤祐希/田辺誠一/西田尚美