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「見えない目撃者」 2019

見えない目撃者

★★☆☆☆

 

あらすじ

 警察学校を卒業するも事故で失明し失意の日々を送っていた女性は、ある日遭遇した事件を目撃者と共に追うようになる。2011年の韓国映画「ブラインド」のリメイク。

 

感想

 盲目の女性が謎の事件を追う物語だ。警察学校を出ているので基礎的な捜査能力はあるという設定は良く出来ているが、現場に出ることなく退職して今は一般人の主人公に、老刑事がわざわざ捜査の進捗を報告したり、今後について指示を仰いだりする様子には違和感があった。

 

 事件関係者への対応としてはやり過ぎだし、彼女に捜査に参加してもらいたくなるような実績があるわけでもないので、警察が彼女に頼る構図は奇妙だ。違和感なくその構図へ持って行くのはなかなか大変だろうから、もうどうせなら彼女が名探偵だということにでもした方が良かったのかもしれない。

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 それから彼女が失明するきっかけとなった交通事故もリアリティがなかった。車の運転中に足元に落ちた小物を拾おうとして事故になったわけだが、そんなの信号が赤で停まった時に拾えばよかっただけの話だ。急いで拾わなければいけない危険なものでも、逃げてしまうような生きものでない。それなのに、急かされたとはいえ走行中にそんなことをしようとするなんて、彼女の諸々の能力にすら疑念を抱いてしまう。

 

 そんな不満は感じつつも、中盤の少しずつ犯人に迫っていく過程は悪くなかった。それなりに楽しめていたのだが、真犯人が明らかになり始めたあたりから雲行きが怪しくなってくる。

 

 

 まず真犯人の目星がついた時に老刑事が驚愕していたことに戸惑ってしまった。こちらとしてはそんなこともあるかもね、くらいの認識でいたのに、彼がめちゃくちゃ驚いていることに驚いてしまった。何となく刑事らと一心同体のつもりで見ていたのに、一緒ではない事実を突きつけられたような疎外感があった。

 

 そして、犯人のアジトである大邸宅に乗り込んだクライマックスが酷い。直前に乗り込んだ人物が殺されていたということは、邸内に犯人がいることはほぼ確実なのに、主人公らは何故か全く警戒することなく被害者を探し始める。愚かしさに頭を抱えてしまうが、案の定犯人に襲われる。

 

 逆境の中、主人公らはなんとか体勢を立て直し反撃に成功するのだが、今度は詰めが甘い。とどめを刺せとは言わないが、せめて拘束するなり確実に閉じ込めておくなりすればいいのに、なぜか中途半端に放置して何度も犯人の復活を許してしまう。主人公らのグダグダぶりにイライラさせられてしまった。最終的に犯人があんな結末を迎えたのも主人公らの責任だろう。途中でしっかり拘束していたら、普通に逮捕できていたはずだ。

 

 最後も、主人公が事件に関わるきっかけとなった被害者の救出に成功してめでたしめでたし、みたいな雰囲気になっていたのだが、他にたくさん人が死んでいるのは見えないのかな?もしかして鬼なのかな?と思ってしまった。

 

 その他にも、犯人の存在感がなさすぎ、とか、主人公が追われている時の東京、人が居なさすぎ、とか言い出したらキリがないほど気になる点がたくさん出てきてしまう。こういうのはメインのストーリーが面白ければ許せてしまうことばかりだが、この映画では全く許す気になれそうもない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 森淳一

 

脚本 藤井清美

 

原案 ブラインド(字幕)

 

出演 吉岡里帆/高杉真宙/大倉孝二/浅香航大/酒向芳/松大航也/渡辺大知/栁俊太郎/松田美由紀/田口トモロヲ

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ブラインド (2011年の映画) - Wikipedia

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