BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「アズミ・ハルコは行方不明」 2016

アズミ・ハルコは行方不明

★★★★☆

 

あらすじ

 グラフティアートの素材として使われ有名になった女性が、失踪するまでのいきさつが描かれる。 

 

感想

 冒頭からしばらくは何の脈絡もないような映像が断片的に流れ戸惑うが、次第にそれぞれがつながり、話の流れが見え始めて面白くなってくる。そして時系列が前後して語られていることが分かってきて、今度はその時系列を見失わないよう頭の中で整理するのが忙しくなる。

 

 一人の女性がなぜ失踪したのか明確な理由は明らかにされていないが、彼女の暮らしを見ていれば何となく思い当たる節はある。ちょっと出かければ顔見知りに出会い、付き合う相手は幼馴染たち。そんな狭いコミュニティで男女が付き合ったり別れたりし、その噂もすぐに広まる。家では痴呆の祖母を世話する母親の怒鳴り声、会社では若い女性社員が入社して、チヤホヤされる時代が過ぎつつあることを実感している。先行きに明るい兆しは何もない。閉塞感だけが彼女を覆っている。

 

 

 いわゆる田舎の閉塞感が描かれているわけだが、中でも女性特有の閉塞感に焦点をあてて描かれている。主人公は20代後半で若さを失いつつある。会社では安い給料で女性蔑視の発言を繰り返す無駄口ばかりの高給の上司のために働き、結婚を意識するも男にフラれて動揺する。

 

 高畑充希が演じるのは20代そこそこの女性。同級生の男たちにいいように扱われ、ともに手掛けたグラフティアートも手柄は男たちに。彼女の先行きも暗そうだ。そして主人公の母親は夫が無関心を装う中、たった一人で義理の母親の面倒をみて疲弊しきっている。

 

 男たちに虐げられて、追い込まれていく女たち。若干、男を酷く描き過ぎている気がしないでもないが、実際のところこんなものなのかもしれない。無意識に女性を傷つける言動をしてしまっていそうだ。

 

 そんな女たちとは対照的なのが女子高生たちだ。映画の中では無差別に男に暴行を加えている。ここまで過激ではなくても、実際に女子高生たちは元気だ。偏見なくやりたいことをやって楽しんでいる。若さゆえか男社会の現実を知らない無知ゆえか。映画では年齢を重ねても、そんな女子高生のようなマインドでいようと女性にエールを送っているように思えた。警察の包囲を颯爽と笑顔で突破していく女子高生たちの年齢層は幅広かった。

 

 年齢だの性別だの地域だの、何物にもとらわれず自由に生きればいい、そんなメッセージ。言うのは簡単で実行するのは難しいことだが、そういう考え方が心にあるだけで、現実は少しずつ変わっていく気はする。

 

スタッフ/キャスト

監督 松居大悟

 

原作 アズミ・ハルコは行方不明 (幻冬舎文庫)

 

出演

bookcites.hatenadiary.com

高畑充希/太賀/葉山奨之/石崎ひゅーい/菊池亜希子/山田真歩/落合モトキ/芹那/花影香音/柳憂怜/国広富之

bookcites.hatenadiary.com

 

音楽 環ROY

 

アズミ・ハルコは行方不明

アズミ・ハルコは行方不明

 

アズミ・ハルコは行方不明 - Wikipedia

アズミ・ハルコは行方不明 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

登場する作品

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com