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「必殺仕掛人 梅安蟻地獄」 1973

必殺仕掛人 梅安蟻地獄

★★★☆☆

 

あらすじ

 諸大名との取引で莫大な富を築く商人の殺害を依頼された殺し屋は、ターゲットの身辺調査を始める。

 

感想

 主人公の殺し屋・藤枝梅安を演じる緒形拳が魅力的だ。普段は下世話で女好きでニコニコしているのに、仕事の時は鬼気迫る顔になるなど、とても豊かな表情を見せている。中でも、知り合った侍に自分が殺し屋であることを打ち明けた時に見せた、凄みのある悪い顔は印象的だった。一体この人の本当の顔はどれなのだろうと、底の知れない恐ろしさがある。

 

 物語は、主人公が依頼を受けた殺しの仕事の話と、たまたま知り合った侍の仇討の話が同時進行で展開していく。その過程で、主人公の殺しの相手と侍の仇討の相手に関係があることが分かったり、その裏にある秘密が明らかになったりするのだが、クライマックスに至るまでのこの中盤は少々退屈だった。秘密を先に観客に知らせた後で主人公らに気付かせる構成なので、主人公がハッと事実に気付いて驚いたところで、こちらには何の感情も動かない。

 

 

 それから敵の兄弟の話も余計だったような気がする。悪玉とはいえ人の子だ、ということでいい話ではあるのだが、それが伏線となってその後に生きてきたわけでもないので、単なる蛇足に感じてしまった。

 

 そしてようやく迎えるクライマックス。チャンバラなら散々ガチャガチャやった後に決着がつくのだろうが、主人公の仕事は一瞬で終わる。あっけなさがないわけでもないが、あまりにもシンプルで逆に爽快感があった。同時進行していた侍の仇討も、一方的に相手を切り刻むというもので、これはこれで気持ちよかった。

 

 このほとんど一瞬で終わってしまうクライマックスなら、間を持たせようと中盤がだらだらとしてしまうのも仕方がないのかもしれない。退屈を我慢したかいのある映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 渡邊祐介

 

原作 梅安蟻地獄 仕掛人・藤枝梅安(二) (講談社文庫)

 

出演 緒形拳/山村聰/林与一/松尾嘉代/津坂匡章/佐藤慶/小池朝雄

 

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必殺仕掛人 (映画) - Wikipedia

 

 

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