BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード」 1970

砂漠の流れ者/ケーブルホーグのバラード (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 仲間割れして砂漠の中に一人置き去りにされた男は、野垂れ死ぬ寸前に水源を見つけ 九死に一生を得る。そしてその水源地に駅馬車の中継駅を作りはじめる。

 

感想

 監督は「ワイルドバンチ」のサム・ペキンパー。それだけに激しいバイオレンス描写があるのかと思いながら見ていたが、そんなシーンはほぼなく穏やかな映画に仕上がっている。

bookcites.hatenadiary.com

 

 裏切った仲間に反撃するチャンスがあったにもかかわらず、撃つことが出来ず結局、砂漠に一人取り残されてしまった主人公。しかし別の機会には相手をあっさり撃ち殺したりして、人間の一貫しないあやふやさがよく表れている。その他にも、主人公はようやく手に入れた金でふらふらと売春宿に行ってしまったり、自分の土地を手に入れてうれしくなって踊りだしたりと人間味の溢れるキャラクター。

 

 映画は基本的にはコメディーでコミカルなシーンが多い。特に主人公の相棒となるインチキ牧師が、街で見かけた人妻を落とそうとする場面は面白かった。ハードボイルドな内容だと思っていたので最初は少し戸惑ったが、ペースをつかむと安心して楽しむことが出来た。焦ったり、うれしかったりを早送りのコマ送りの映像で表現する手法も良かった。

 

 

 主人公たちが中継駅にやってきた自動車を見て、「不細工な乗り物だ」と言っていたのが印象的だった。馬車しか見たことのなかった時代の人たちには、車輪がついたものの前には馬がいないとバランス的に収まりが悪く感じたようだ。初期の自動車にはフロント部分を馬を模したデザインにしたものもあったと聞いたことがある。自動車の登場によりやがて中継駅はガソリンスタンドになると暗示するセリフもあったりして上手い。

 

 登場人物たちは皆、善人ではないが、かといって悪人というわけでもない。人間なんてその間をふらふらと行ったり来たりする曖昧なものだ。だけどそれでいいじゃないか、人生を謳歌しよう、という人間賛歌に包まれた映画。相棒のインチキ牧師のインチキ説教の場面が途中で切り替わるラストも秀逸だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作

bookcites.hatenadiary.com

 

出演 ジェイソン・ロバーズ/ステラ・スティーヴンス/デビッド・ワーナー/ストローザー・マーティン/L・Q・ジョーンズ/スリム・ピケンズ/R・G・アームストロング

 

音楽 ジェリー・ゴールドスミス

 

砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード - Wikipedia

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com