★★★☆☆
あらすじ
高校生の時に監禁事件の被害者となった女医。夜はSMクラブで働いている。
感想
思っていたより激しい描写の連続で面白く感じるのだが、次第に慣れてくる。SMクラブのシーンでも感じるが、初めて訪れた人はひどく興奮するものでも、そこで働いている人にとっては日常でただのルーティンでしかなかったりする。
女子高生を監禁するシーンは凄惨で、ストックホルム症候群のような安っぽい描き方はせず、犯人の事を冷めた目線でずっと見ているのが良かった。そしてそこから脱出するのが約1か月後というのも絶妙の時間だ。
とにかく生きて戻ってくれただけで嬉しいと思えるような何年か後でもなく、何かが起きる前のすぐ後でもなく、1か月後。家族が事件に巻き込まれたのではなく、きっと家出だと信じ込んでいられるような期間で、まだ覚悟が出来上がっていない状態のときに戻ってきた。家族が現実を受け止められず、関係がギクシャクとしたものとなるのも理解できる。悲しいことだが。
その後女医となった主人公。この監禁事件で感じた何かを求めて夜はSMクラブで働いている。正直、良く分からない世界だが、サドだマゾだと言ってもそのどちらかを突き詰めていくのが良いのではなくて、極限まで行って逆に切り替わってしまう瞬間にぞくぞくしてしまうのかもしれない。このままいくとそうなってしまうのではないかと恐れる感じが良いというか。やっぱり良く分からない。ただ、Sなのー、とか言っている人をイジメたくなる気持ちはちょっとわかる。
終盤の錯乱した主人公がナイフで次々と…というシーンはちょっと笑ってしまった。少しコメディっぽい間だった。
おそらくサービスショットを多めにしたために、少し冗長な感じが出てしまっているが、容赦のない感じや血まみれな感じがやり切っている感があって、悪くない映画に仕上がっている。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 石井隆
出演 壇蜜/間宮夕貴/中野剛/中島ひろ子/竹中直人/(声)喜多嶋舞