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「Presents〜合い鍵〜」 2006

Presents 合い鍵

★★★☆☆

 

あらすじ

 長年付き合った男に別れを切り出された女。45分。

 

感想

 付き合いが長くなりマンネリの関係になっていた男に突然別れを切り出されてしまった女。この主演の女性を演じるのは広末涼子で、個人的にはこれまであまり彼女の演技が好きではなかったのだが、この映画の彼女は悪くない。特に、突然の別れ話に動揺しながらもなんとか平静を装おうとする様子を、微妙な表情の変化で表現する場面が良かった。この映画はほとんど他の人物は登場しないので、この彼女の演技だけで持っている映画と言ってもいいだろう。

 

 フラれた主人公はその後、部屋の掃除や整理をしたりして、気持ちを切り替えようと様々な行動を試みる。映画冒頭で広末涼子が登場した時、彼女のロングヘア―はイメージになかったので珍しいなとチラッと思ったのだが、それもここのシーンのためだった。女性がフラれた時にやるとされるベタな行動のひとつ。特に文句があるわけではないが、だからだったのかと納得した。

 

 そしてそんな行動の一環として、男に合い鍵を返そうと手紙を書く主人公。そこで主人公は合い鍵を貰った当時を振り返り、久しく感じた事のなかった恋の感情を思い出す。悲しい気持ちは当然あるが、またこんな気持ちを味わうのも悪くないかもと前向きな気持ちになれた。主人公の心情が明確に語られるわけではないが、汲み取るとこんな感じになるだろうか。合い鍵はそんな気持ちを思い出させてくれる、今でも大事なプレゼントのままだ。

 

 ところで男が主人公に合い鍵をプレゼントするときの演出はなかなか良かった。タイマーで音楽を鳴らし、それに気づいた主人公がラジカセの所に行くとそこにプレゼントが置いてある。自然とプレゼントまでたどり着いてしまう動線の設定で、しかも洒落ているので感心した。真似したくなるが、多分一生そんな機会はない。

 

 

 悪くない物語だったが、最後が少し分かりづらかったのが残念だ。彼女の一人語りから結局合い鍵を返すのは止めたのだと推測できるが、その映像がないので確信が持てない。そこはぼやかす必要はないはずなので、主人公が手紙に鍵を入れずに封をするシーンをちゃんと見せて欲しかった。

 

 しかし鍵を返さなかったのだとしたら、元彼女からただのクリスマスカードを突然送り付けられたことになる男は、気味が悪かっただろうなと同情してしまう。でもそれがきっかけで復縁することがあるかもしれないし、また新たなドラマが生まれるきっかけになるかもしれない。たとえそうならなかったとしても、彼にとってはいつまでも記憶に残るクリスマスプレゼントになったはずだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 日向朝子

 

原作 Presents (双葉文庫)


出演 広末涼子/玉山鉄二/安田顕

 

音楽 野崎美波

 

Presents (小説) - Wikipedia

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