★★★☆☆
あらすじ
ある人物を連行する任務を遂行中の3人のCIAエージェントは、本部からの指令に違和感を感じ始める。
感想
5週間前、3週間前、現在と、3つの時点のエピソードが同時進行で描かれていく物語だ。最初は各エピソードで何が行われているのはっきりとせず、また、ぞれぞれで登場人物の顔ぶれも違うので、そのつながりも分からない。序盤をそれらを探るように注意深く見守る展開となる。
メインとなるのは5週間前の拘留者を尋問するエピソードと、現在のある人物を拘束連行するエピソードで、どちらも何か裏がありそうな意味深な雰囲気が漂っている。どうなっていくのかと惹きつけられても良さそうな状況なのに、どちらもどこか取っつきにくい印象を受けてしまうのは、この中の誰に感情移入をすればいいのかが分からないからだろう。群像劇と言えば聞こえはいいが、物語の核が見えず、どこに重点を置いて見るべきなのかが曖昧になってしまっている。
一見関係のなさそうな二つの任務がどのようにつながっていくのかと、それが気になるがために、最後まで興味深く見ることは出来る。だが、全体像が明らかになるにつれ、どんどんとテンションが下がっていくのが残念なところだ。散らばったピースを集めてパズルを完成させてみたら、とてつもなくつまらない絵だったみたいながっかり感がある。
結局、メル・ギブソン演じるCIA高官が、ある方針に従って仕事をしているだけの話だ。最終的にはどうせ彼がある決まった処置をするのだから、途中でエージェントたちが何をしようが意味がなかったではないかと白けた気分になってしまった。
こんなつまらない事務作業みたいなプロットを複雑に描くなよと思ってしまうが、簡単に描くともっとつまらなくなってしまうわけだから、この描き方で正解だったのだろう。本当はエージェント同士の騙し騙されの駆け引きや高官の手の平で踊らされている様子を見たかったが、全員が踊ることも出来ずにただ騙されただけのストーリーだった。
スタッフ/キャスト
監督 グラント・S・ジョンソン
出演 ダーモット・マローニー/エイダン・カント/ケイティ・キャシディ/アニー・イロンゼ/リス・コイロ/バーカッド・アブディ/ジェイソン・アイザックス/メル・ギブソン