★★★☆☆
あらすじ
体調が思わしくない中、舞台と映画製作を同時進行で進める演出家。
カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。アカデミー賞編集賞。123分。
感想
舞台の準備と映画の製作を同時進行で行う演出家が主人公だ。嫌な咳をして体調は思わしくないようだが、ドラッグをやりタバコを吸いまくりながら多忙なスケジュールをこなしている。
しかし舞台と映画を同時にやることなんてある?と思ってしまったが、、あとで監督のボブ・フォッシーの実体験を元にしている事がわかった。すごい活力だ。
映画は断片的なエピソードを積み重ねていくスタイルで、そこにさらにミュージカルシーンや幻想的なシーンが混じり込んでくる。最初は物語の方向性や登場人物たちの関係性が分かりづらかった。ただ小気味の良いカットが続いてテンポが良く、辛くはなかった。オーソドックスではない音楽も良い。
やがて主人公は無理がたたって倒れてしまう。そりゃそうだろうという感じだったが、彼のショービジネスに賭ける情熱が伝わってきた。入院生活ですら楽しもうとする彼の姿勢は、人生自体を一つのショーとして捉えているかのようだ。
ある意味で命を削りながら生きている主人公の姿は、アリとキリギリスのキリギリスのように見えなくもない。彼の人生もそんなおとぎ話の結末のようになってしまった。シビアなお金の話もあり、ショービジネスは決して楽しいだけの夢のような世界でないことも示唆している。
だがそれでも本人が納得し、悔いはないと感じているのなら、ショーのために生きた素晴らしい人生だったということになるのだろう。
ラストはフェリーニの「8 1/2」を思わせるようなシーンで締めくくられる。多少、なんで踊るの?と思ってしまう時があることに自分のミュージカル苦手具合を痛感してしまうが、悪くない大団円だった。主人公のためだけに恋人と娘が踊るシーンも良かった。断片的な映像のコラージュが、主人公の人生を浮かび上がらせている。
気になったのは内容と映画のタイトルがマッチしていないように感じるところだ。ショービズ界のすべて、みたいな意味合いなのだろうか。監督のミュージカル作品「シカゴ」で使われた曲から取ったタイトルのようだが、ピンとこない。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ボブ・フォッシー
出演 ロイ・シャイダー/ジェシカ・ラング/マックス・ライト/ロバート・ヒット/ジョン・リスゴー
音楽 ラルフ・バーンズ
編集 アラン・ハイム