★★★☆☆
あらすじ
環太平洋で行われていた大規模な演習中に宇宙人の襲来に遭い、応戦することになった米海軍の将校。
同名のボードゲームをベースにした映画。131分。
感想
地球外生命体との交信を試みる壮大なプロジェクトが描かれた後、主人公のナンパ、サッカーの試合、そして恋人の父親への結婚の挨拶と続く序盤は、スケール感の落差がすごい。本来はこの落差で、一気に話に引き込みたかったのだろうが、見事に失敗している。
まずこの主人公に魅力がない。将来を心配する兄の忠告を無視するし、ナンパをすれば騒動を起こすし、サッカーでも皆の足を引っ張る。愛嬌があるとか気骨があるとか、何か彼に感情移入できる長所を見たいのに、情けない姿ばかりを見せられる。これでは好感など持てるわけがない。
それでもちゃんと意中の女性と付き合っているのは長所なのかもしれないが、逆になんかムカつく要素になってしまっている。ついでに言うと、全然優秀に見えない彼が、海軍でそこそこのポジションにいるのも解せなかった。
そして宇宙人がやって来て彼らとの対決が始まる。戦いの場を一定の地域に限定し、そこをさらに細かく区分けして攻撃していく設定はまるでゲームみたいだなと思っていたら、ボードゲームを題材にした映画だった。どうりで既視感があったわけだ。
そもそも何でこれを映画にしようとしたのかと疑問も湧くが、アメリカのおもちゃ会社ハズプロが絡んでいるので、このボードゲームを売りたかったのだろう。
息つく暇のない激しいアクションが続く。だがその代わりに説明不足になっていて、空回り気味になっている。宇宙人の詳細をもっと知りたかったし、主人公側の意図ももっとしっかり説明して欲しかった。派手な映像と大掛かりな音楽で、なんかよく分かんないけどすごい、くらいの雑な感想しか出てこないのは歩留まりが悪い。
負傷した退役兵が出演していたり、日米で共同で戦っていたりと、無邪気な軍人賛美を感じる映画でもある。終盤になると昔の戦艦や退役軍人が活躍したり、また、皆で砲弾を運んだりするようになる。段々とその表現が過剰になり、荒唐無稽さを醸し出し始めるのは馬鹿っぽくて面白かった。嫌いじゃない。
浅野忠信が良い役柄で良い仕事をしているのは喜ばしいし、リアーナが悪くない演技をしているのも意外だったりと、キャスティング的にも楽しめる。主人公だけが残念だ。
宇宙人からすると、合図を送られたから来たのにいきなり攻撃され、慌てて反撃したら全滅させられた、という散々な話だ。同情してしまう。
スタッフ/キャスト
監督/製作 ピーター・バーグ
出演 アレクサンダー・スカルスガルド/テイラー・キッチュ/ブルックリン・デッカー/リアーナ/リーアム・ニーソン/ジェシー・プレモンス/ピーター・マクニコル/ブルックリン・デッカー/アダム・ゴドリー