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「ぼくらの7日間戦争」 2019

ぼくらの7日間戦争

★★★☆☆

 

あらすじ

 東京に引っ越すのを嫌がる幼馴染に家出を持ち掛け、友人たちと共に廃坑に籠もった男子高生。

 

感想

 親元を離れて仲間と共に和気あいあいと過ごすつもりだった主人公たちは、廃坑にいた不法滞在の子供を匿ったことから入管職員ら大人たちと戦うことになるというストーリー。子供たちが大人をコテンパンにやっつけて痛快な気分にさせてくれる映画なのかと思ったがそうでもない。初回は少しだけそんな感じはあったが、その後はただ受け身で防戦するだけ。戦争ぽくはない。

 

 そもそも主人公たちは大人に対する反抗心もさほどなく、向こうが来るから仕方なく応戦しているだけといった様子。関心があるのは個人的な事だけ、みたいな印象を受ける。ある意味では現代的なのかもしれない。騙されて日本にやって来た外国人労働者の子供を見て助けたいとは思うが、外国人労働者を騙すなと訴えようとは思わない。SNSを使って世間を利用する方法は知っているが、それを社会問題解決のためには使わない。

 

 

 しかしこの主人公たちはひょんなことから大人たちと対峙することになったが、当初の予定通りだったらどのように過ごしていたのかいまいち想像が出来ない。皆どこか淡々としていて若さが感じられない。なんだか僧院での暮らしのように粛々と規則正しく過ごして、何もないままそのまま解散しそうだ。この年頃の男女ならではの、仲間だけで過ごす高揚感をもうちょっとちゃんと描いて欲しかった。修学旅行の夜のような気分、青春ぽい感じを。

 

 大人たちとの対決も盛り上がらず、青春映画ぽさもないこの映画のクライマックスは、仲間内での告白合戦になるだろうか。見ているだけで小っ恥ずかしくなるような内容だったが、中でもヒロインの告白はいかにも今っぽくて萎えた。なんか最近とりあえずこういう要素を入れておけばいいんでしょ、みたいな風潮があって嫌い。ついでにアニメ映画で曲をフルに近い形で流してミュージックビデオみたいにする演出も。それから、ヒロインの告白の時の動きがまるでロックスターみたいで、話の流れとは関係なく爆笑してしまった。この告白合戦も、主人公の告白はスルーされたみたいになってしまっていて中途半端だった。

 

 なんだか盛り上がりに欠ける映画となってしまっているが、最後に宮沢りえが声を担当するキャラが登場し、バックで薄っすらと TM NETWORKの「SEVEN DAYS WAR」のメロディが流れ出した時は、思わずグッと来てしまった。でもこれは30年以上前の実写版を観た人にしか伝わらないだろう。中高生の子供と一緒に観たその親だけが心動かされる感じだろうか。

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スタッフ/キャスト

監督 村野佑太

 

脚本 大河内一楼

 

原作 ぼくらの七日間戦争 (角川つばさ文庫)


出演(声) 北村匠海/芳根京子/宮沢りえ/潘めぐみ/鈴木達央/大塚剛央/道井悠/小市眞琴/櫻井孝宏

 

ぼくらの七日間戦争 - Wikipedia

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