BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「僕達急行 A列車で行こう」 2012

僕達急行 A列車で行こう

★★★★☆

 

あらすじ

 不動産開発会社に勤める鉄道好きの男は九州に転勤となるが、そこに失恋した鉄道仲間が遊びに来る。

 

感想

 鉄道好きの男二人を中心とした物語だ。鉄道好きには乗り鉄、撮り鉄など様々な分野があると聞くが、主人公の音楽を聴きながら電車に乗るのが好き、というのは初めて聞いた。映画の中でも何度かツッコまれていたが、電車を五感で楽しむのではなく、聴覚を遮断してしまうのはどうなの?と思ってしまった。だがどう楽しもうとそれは人の自由だ。

 

 映画は飄々とした雰囲気で、淡々と進んでいく。そこにオフビートの細かなギャグが散りばめられている感じだ。伊東ゆかりの「小指の想い出」のネタなんてどれくらいの人が分かるのだ?などと思ってしまうが、そんな感じで気付かなかったギャグがいくつもあるのかもしれない。

 

 序盤はとりたててストーリーらしいストーリーはなく、このまま淡々と鉄道好きの日常を映し続けて終わっていくのかと思っていたら、後半は主人公の仕事の話がメインになってきて、一気にたたみ掛けるようにそれまでの出来事がつながっていった。この終盤に向けて盛り上げていく演出は見事だ。駅から駅へと線路がつながる鉄道のように、人と人がつながって物語が紡がれていく。

 

 

 見ていると、好きなことを大事にマイペースでやっていれば何とかなるよ、と励まされているような気持ちになる心温まる物語だ。主人公たちの韓国アイドルのような力の抜けたファッションが印象的だったが、それが肩ひじ張らない彼らの自然体の生き方を象徴しているように思えた。あのピエール瀧ですら同様のファッションをしているとソフトな印象になるのはなんだか面白かったが。

 

 考えてみれば少し奇異に思える主人公のものを含め、様々な楽しみ方ができる鉄道というものは、包容力のある存在かも知れない。人生も同じようなもので、皆が思い思いに好きなスタイルで楽しめばいいのだろう。無理する必要は何もない。

 

 実際は撮り鉄のトラブルの話などを聞くのでそんなことはなく、この物語は優しい世界すぎるのかもしれないが、たまにはこんな世界を見るのも悪くないなと思わせてくれる。鉄道好きじゃなくても普通に楽しめるが、鉄道マニアだった監督が撮っているのだから同様の人たちはもっと楽しめるはずだ。全然気づかなかったが、登場人物や会社の名前は列車の名称から取られているらしい。

www.toretabi.jp

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本

bookcites.hatenadiary.com

 

出演

bookcites.hatenadiary.com

瑛太/貫地谷しほり/村川絵梨/ピエール瀧/伊武雅刀/伊東ゆかり/星野知子/笹野高史/西岡徳馬/松坂慶子/菅原大吉/伊藤克信/中村靖日/鈴木亮平

 

音楽 大島ミチル

 

僕達急行 A列車で行こう - Wikipedia

僕達急行 A列車で行こう | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com