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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「カーズ」 2006

カーズ (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 車だけの世界。カーレースでチャンピオンを狙う自信満々で傲慢な若者は、次のレース会場に向かう途中の寂れた町で足止めを食らってしまう。

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感想

 カーレースのシーンから映画は始まる。よくあるレースシーンと言えばそうなのだが、迫力あるエンジン音にアップテンポの音楽、走り抜ける色とりどりのレースカー、沸き立つと観客と、五感を刺激する心躍るスタートで掴みはばっちりだ。アニメならではのコミカルな動きもあって楽しませてくれる。

 

 人間は存在せず、車しかいない設定の世界観で、蠅や牛的なものまで車の形をしている。最初に車2台がレースの実況・解説しているのを見た時には猛烈な違和感を感じてしまったが、そのうち慣れた。彼らはどうやって生まれるのだ?好きな車種を選べるのか?選べないのだったら職業選択の自由はないのか?と次々と疑問も湧いてくるが、細かいことを気にしていてはダメなやつだ。だがそんな矛盾を探すのも面白かったりする。

 

 

 登場するキャラクターたちは皆個性豊かだ。中でも主人公の親友となるレッカー車の、危険な状況で大爆笑しているヤバさが好きだった。車のフロント部分を顔に見立てるのは定番だが、バンパーなどのちょっとしたパーツの配置を工夫することで、ちゃんと頑固そうなおじさんだったり、きれいな女性に見えるようになっているのは見事だった。

 

 生意気だった主人公が、辺鄙な町の車たちと交流することで、他人を思いやれる大人へと成長していく物語だ。正直なところあまり町の人たちと親交を深めたようには見えなかったし、ラストのレースシーンでのクサすぎる結末もあまり好きではなかったが、寂れてしまった街の古き良き時代にスポットライトを当てる展開は良かった。

 

 便利な高速道路や橋が出来た結果、それまで栄えていた宿場町や港が寂れていく現象は、どこででも起きているのだなと感じた。今は出発地と目的地を点で結ぶだけだが、昔はのんびりとしていて、その過程にも情緒があった。昔は良かった的な単なるノスタルジーかもしれないが、案外これは、旅が多様化する現代の人々の心に響くメッセージのような気がする。爆発的に流行ることはないにしても、こういう旅の楽しみ方をする人はそれなりに増えていきそうだ。

 

 最初のレースシーンもそうだったが、広大な大自然の中をドライブするシーンだったり、深夜の高速を黙々と走らせる感じだったり、見てると自然と車が欲しくなってくる映画だ。普通に車の良いプロモーションにもなっている。日本も「若者の車離れ」とか嘆いてばかりいないで、将来の潜在的な顧客に対するこんなプロモーションをもっとやればいいのに、と思ってしまった。日本だとそれよりも「車でも買うか」と思ってしまうほどの給料をあげる方が効果的なのかもしれないが。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ジョン・ラセター/ジョー・ランフト

 

製作 ダーラ・K・アンダーソン

 

出演(声) オーウェン・ウィルソン

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ラリー・ザ・ケーブル・ガイ/ボニー・ハント/トニー・シャルーブ/マイケル・キートン/リチャード・ペティ/チーチ・マリン/ジェニファー・ルイス/ポール・ドゥーリイ/ジョージ・カーリン/キャサリン・ヘルモンド/ジョン・ラッツェンバーガー/ジョー・ランフト/ジェレミー・ピヴェン/デイル・アーンハートJr./アンドリュー・スタントン/リチャード・カインド/エディ・マックラーグ/フランク・ウェルカー/シェリル・クロウ*/サラ・クラーク/マリオ・アンドレッティ/ジェイ・レノ/ジェス・ハーネル/ミハエル・シューマッハ/トム・ハンクス/ティム・アレン/ジョン・グッドマン/ビリー・クリスタル/デイヴ・フォーリー

*クレジットなし

 

音楽 ランディ・ニューマン

 

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カーズ (映画) - Wikipedia

 

 

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