★★☆☆☆
あらすじ
目覚めると立方体型の密室にいた男は、同様の人たちと協力して脱出を図る。
菅田将暉、杏、岡田将生ら出演。1997年のカナダ映画のリメイク作品。108分。
感想
訳も分からぬままに立方体の部屋に閉じ込められた人間たちの物語だ。六面全部にドアがあり、その先にはまた別の部屋、そして命を奪うトラップが仕掛けられた部屋もある中で、知恵を絞り協力しながら脱出を図る。
序盤は、原始的な確認方法を使いながらとにかく進み、次第にこの不条理な空間のシステムを把握し、法則を発見していく様子が描かれる。少しずつ全貌が見えてきて、次なる展開に興味をかきたてられる。
しかしそれに水を差すのが、登場人物たちの外の世界でのエピソードだ。それぞれが抱えるトラウマなどが回想として断片的に挿入される。しかし緊張感ある密室劇をやっているところに、ややこしい外の話なんて持ち出されても没入感を削ぐだけだ。
そもそも個人的事情を気にしている余裕なんてない切羽詰まった状況のはずだ。そんなのどうでもいいからあとで勝手にやってくれないかな?とお願いしたくなる。
吉田鋼太郎演じる尊大な年配の男と岡田将生演じる気弱な若者が対立していたが、こんな風に外の世界での姿を想像させる程度の描写なら効果的だが、それ以外の個別具体的な話はノイズでしかない。ただ、密室の息苦しさを緩和させる意図もあったかもしれない。
ところで、ここで若者が「大人はズルい」的なことを言っていたが、この若者だって充分に大人だろうとツッコミを入れたくなった。しかしこういう気持ちが大人にもあり、とは言えさすがに大人がそれを言うのは無理があると自覚しているから、それが今の「老人たたき」と呼ばれるものに変化したのかもしれない、などと思ったりした。確かにどちらも青臭い。
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終盤に進むにつれて物語の重心は、脱出からそれぞれのトラウマを巡るものへと移っていく。ただでさえどうでもいいと思っているのに、その人間ドラマが薄っぺらいのがツラい。舞台はキューブの多面体なのに、人物描写は一面しか描かれず、表面的なキャラクターばかりになっている。
それよりもトラップの仕掛けや奇怪な空間ならではの演出をもっと見たかった。求めていない方向にどんどんと進み、最後はかなり酷いことになってしまう映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 清水康彦
脚本 徳尾浩司
原案
出演 菅田将暉/杏/柄本時生/田代輝/山時聡真/斎藤工/吉田鋼太郎
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