★★★☆☆
あらすじ
戸籍もなく学校に通ったこともない少年は、知り合った二人の高校生といつもツルんでいたが、ある日ひょんなことから拳銃を手に入れる。
YOSHI、菅田将暉、仲野太賀ら出演、大森立嗣監督。119分。
感想
世間からはみ出てしまった三人の少年の無軌道な日々を描く物語だ。ただ、無戸籍で学校にも行ったことがない主人公は分かるとして、あとの二人がどうしてそこまで荒れているのかはよく分からない。
菅田将暉演じる少年は、部活推薦で入学するも怪我をして居場所を失ってしまったが、人生を棒に振るくらい無茶苦茶やるほどではない。未熟な本人がもう終わりだと思い詰めたとしても、家族がいるだろうと思ってしまう。
彼の兄は順調に人生を歩んでいるようなので、家庭環境はそれほど悪くはなさそうだ。だが両親については一切触れられない。十代の若者にとって両親の存在は大きいはずなので、これは不自然だった。
一方の仲野太賀演じる少年は、そもそもグレる理由が分からない。時々他の二人の言動に引いているし、父親が登場して付き合いを辞めさせようともしているのだが、それでも彼らとつるもうとする理由が見えない。
そんな三人が銃を手に入れる。よくある象徴的なプロットだが、彼らはそれで何か企むわけでもなく、ただただ傍若無人な日々を過ごすだけだ。他人から見れば眉をひそめたくなるようなもので、本人たちにとっても刹那的な享楽で、きっと虚しいだけの行いだ。どの視点で見たとしてもしんどいだけの展開だった。
世間からはみ出てしまった彼らは、疎外感を払しょくするために飛ぼうとした。そして飛んでいるうちに天国近くまで高く飛んでしまっていることに気付く。飛ぶのを止めてしまえば落下して地面に叩きつけられるだけだから、そのまま天国まで行ってしまおうとしたのだろう。どちらにしても明るい未来がないのはつらい。
弱者に厳しい貧しい世の中に蔓延る諸問題を浮き彫りにする物語だ。彼らの自暴自棄な行動も、わずかな失敗も挽回できない不寛容な社会、未来に希望を持てない社会を暗示しているのだろう。だがそれらを物語にうまく落とし込めていない印象だ。面白みに欠ける物語になってしまっている。
振り返ってみれば、それを象徴的に提示しようとした冒頭のシーンが失敗しているのが大きい。セリフ自体が聞き取りづらくてメッセージがぼんやりとしてしまったし、なんか怒っているので必要以上に暗い気持ちにさせられた。そして、そのトーンを最後まで挽回することは出来なかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/編集 大森立嗣
出演 YOSHI/菅田将暉/仲野太賀/奥野瑛太/豊田エリー/植田紗々/池内万作/大駱駝艦
音楽 大友良英
