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「喜劇 一発勝負」 1967

喜劇・一発勝負

★★★☆☆

 

あらすじ

 勘当されて家を出て行った旅館の長男が10年ぶりに戻ってきて、一攫千金を狙った温泉掘りを始める。

 

感想

 コメディ映画だが、どこか冷めた部分を感じる映画だ。主人公の葬式はやり過ぎ感があるし、駄目な主人公が成功してしまうのはコメディのお約束を無視してしまっている感じがある。監督は、敢えてコメディの常識を破ろうとしたのか、それとも飽きてしまって少し投げやりになってしまっているのか。笑いの演出も、どこかハナ肇のキャラクター頼りだ。それに妙にシリアスなシーンも多い。

 

 そもそも勘当された主人公が、実家に戻ってきた理由がよく分からない。何らかの成功をおさめて故郷に錦を飾るため、というのが定番だが、そういったわけでもなさそうだ。勘当されたのに大義名分もなく戻って来るのかと不思議だが、これ自体もギャグのひとつなのかもしれない。そして「男はつらいよ」の寅さん的でもある。

 

 

 映画の途中で、一家の厄介者扱いの主人公をいつも庇っていたお手伝いの老婆が、主人公に「大金を手に入れたら好きな所に連れて行ってやる。どこ行きたい?」と聞かれて、「なんよう」と答えるのだが、どこの事だかさっぱりわからなくて困惑した。話の内容からなんとなく南の島らしいことは想像できたが、あとで調べたら「南洋」と言っていたようだ。映画からわずか50年、それで完全なる死語になっている言葉もあるのだなと妙に感心した。ただウィキペディアに項目もあるので、知らないだけで今でもよく使われている言葉なのかもしれないが、少なくとも日常の話し言葉で使われることはまずないはずだ。

南洋 - Wikipedia

 

 放蕩息子の主人公に困り果てる父親役の加東大介の演技が印象的だったが、ラストに突如サイコパス化したのには驚いた。ここだけ映画のテイストが急に変わって、異常な雰囲気だ。もしかしたらコメディに見せかけて、本当はこれをやりたかったのかもしれない。少し低調なコメディも、これのための前振りだったと思えば分からなくもない。なんだか不思議な感じのする映画だった。

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スタッフ/キャスト

監督/脚本

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脚本 宮崎晃

 

出演 ハナ肇/倍賞千恵子/加東大介/谷啓/犬塚弘/桜井センリ/三井弘次/左とん平/北林谷栄/北竜二/北竜介/谷よしの/堺正章/井上順

 

音楽 山本直純

 

撮影 高羽哲夫

 

喜劇 一発勝負 - Wikipedia

 

 

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