★★★★☆
あらすじ
仕事中に自宅に侵入した強盗に妻と娘を襲撃された男は、復讐を誓う。1974年の映画「狼よさらば」のリメイク。
感想
冒頭は絵に描いたような良き妻と良き娘に囲まれた理想的な一家の姿が描かれる。わずかな時間でこれだけ羨ましいと思わせるのはすごい。そしてそれだけに、その後に起きた悲劇には我が事のように胸を痛めてしまった。
しばらくはただ悲嘆にくれるばかりだった主人公だが、義理の父親の言葉や自分の身に起きた経験から、自ら銃を持って行動しようと決意する。そして偶然遭遇した事件で最初の行動を不格好ながら成功させ、次は自ら行動に出る。正義のためだからという彼の気持ちは理解できるのだが、やはりそこには危うさがある。その正義感が万能感によって歪んでしまうのではないかと危惧してしまう。
自警団というものが何となく怖いのはそういう危険性があるからだろう。軍隊でさえそんな事があるのだから、私的な行動で自らを律するのはもっと難しいはずだ。映画の中ではそれについて世間は喧々諤々の議論をしているが、主人公自身は特にそれについて何の反応も示していない。そこに危険な匂いを感じてしまった。
やがて主人公は家族を襲った犯人の手掛かりを得て、ついに復讐を開始する。しかし、主人公が医者というのは上手い設定だ。病院には負傷した犯罪者が運び込まれてくるから自然と情報は集まるし、自分の怪我は自分で治療することができるので、警察に足取りを掴まれにくい。
主人公がYoutube的な動画サイトを見て、銃の扱い方やPCのハードディスクの破壊方法を学んでいるのが面白かった。その他にもSNSやスマホのGPSも使われていて、リメイク映画だがちゃんとアップデートされている。今では素人でも、これらを活用すればそれなりに振舞えるようになったということか。
最後は敵をおびき寄せてのクライマックス。来るのが分かっていたならもっとうまくやれよと思わなくもないが、なかなか気持ちのいい展開。序盤にこれは伏線になりそうだなと思いながらも忘れていたことが、やっぱり出てきてニヤリとさせられた。良いオチの決着のつけ方だった。
主人公の周囲の人間がみな善人過ぎるのが気になったが、どぎつめの復讐シーンも見ごたえがあって悪くない映画。
スタッフ/キャスト
監督 イーライ・ロス
脚本 ジョー・カーナハン
出演 ブルース・ウィリス/ヴィンセント・ドノフリオ/エリザベス・シュー/ディーン・ノリス/キンバリー・エリス
編集 マーク・ゴールドブラット
デス・ウィッシュ(R15+) 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!
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