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「荒野のストレンジャー」 1973

荒野のストレンジャー (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 湖の畔の小さな町を訪れた男は、復讐のためにやって来る刑務所帰りの男たちを追い払って欲しいと頼まれる。

 

感想

 冒頭で、住民たちのよそ者に対する冷たい視線を浴びながら、意に介さず悠々としているクリント・イーストウッド演じる主人公がカッコ良い。よくあるオープニングのシーンではあるが。そしてちょっかいをかけてきた男たちを有無を言わさず撃ち殺すまでは良かったのだが、その後の挑戦的な女性に対していきなり暴行してしまうのはさすがに引いた。好意的に解釈すれば、相手も誘っていたという事だろうが、今そんな事を言ったら袋叩きにあうヤツだ。そういう時代だったというしかない。

 

 その後、町の人たちの求めに応じて、用心棒的仕事を引きけることにした主人公。何でもタダにするのが報酬ということで、町中で主人公が好き放題、やりたい放題するシーンは面白かった。それもただ自分のため、というわけではなく、冷たくあしらわれていたネイティブアメリカンや小男にもその恩恵を分け与えるところが良かった。弱者に対する優しいまなざしが感じられる。

 

 

 そしてここでもまた別の女性を襲う主人公。この映画に限らずなのだが、この頃のクリント・イーストウッド演じる男は大抵、いい女は当然俺に抱かれたがっている、という謎の自信をなぜか持っている。実際、当時はモテたのだとは思うが、そういう態度がカッコ良いという風潮があったのだろうか。そのうぬぼれ具合に可笑しみが出るというのはもちろんあるが。

 

 終盤、遂に刑務所帰りの男たちが復讐にやってきて、クライマックスが始まる。だが主人公と住民が一致団結して戦う、胸の熱くなる展開かと思っていたら、そういうわけでもなくてちょっと拍子抜けした。振り返って見れば、主人公の住民に対するどこか冷めた視線や、逆に住民の主人公に対する不信の目など、全体的にどこかギクシャクした雰囲気が漂っていた。

 

 少し釈然としない気持ちでラストを迎えるのだが、このラストシーンでその理由がすべて明らかになる。だからよそ者のはずの主人公がこの町の過去の出来事を知っていたのかと納得でき、すっきりした。主人公の住民に対する冷めた視線の理由も理解できる。悪いのはならず者たちだけではなく、庶民だって善良とは限らない。彼らのしたたかさがこういう方向で現れることもある。

 

 そして、町中を赤く染めたのも、大きなテーブルでパーティーの準備をしたのもそういうことを暗示するためだったのかと納得した。でも、せっかくそこまでやったのだから、もうちょっと物語の中でうまくそれを活用して欲しかった。形を見せて終わり、みたいな素っ気なさがあった。

 

スタッフ/キャスト

監督/出演

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脚本 アーネスト・タイディマン/*ディーン・レイスナー
*クレジットなし

 

出演 ヴァーナ・ブルーム/マリアンナ・ヒル/ミッチェル・ライアン/ジェフリー・ルイス/アンソニー・ジェームズ

 

荒野のストレンジャー (字幕版)

荒野のストレンジャー (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

荒野のストレンジャー - Wikipedia

 

 

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